粘土と化粧品!?その意外な関係

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化粧品に粘土?本当に使われているの?

粘土は古くから人々の暮らしに深く根付いてきました。代表的なものは食事の時に使うお皿や家を建てる時の瓦で、2000年以上も昔から粘土を焼くことによって生産され続けており、色々な素材が開発された今でも、手に入れやすく他に置き換えることのできない材料として粘土が使われ続けています。また、生活とは少し離れたスポーツの世界でも粘土は人々と密接な関係であり続け、粘土製の皿を撃ち落とす競技(クレー射撃)やテニスの全仏オープン(クレーコート)等、その名前を耳にする機会が多くあります。

 毎日のように手に触れている粘土ですが、化粧品の世界でもとてもポピュラーな存在です。粘土は英名がそのまま名前になっている「クレイマスク」だけではなく、パウダーファンデーションや洗顔料等の主原料の1つとして、大事な役割を担っています。科学的な意味での「粘土鉱物」は幅広く、例えばポイントメイクを彩るラメもその仲間に含まれますが、最も一般的な粘土のイメージに近いものとして、いわゆる油粘土の主成分であるカオリンが挙げられます。油粘土と化粧品、一見結びつかなさそうですが、どんな役割を担っているのでしょうか。

カオリンとはどんな成分なの?

 そもそも、カオリンとはどのような成分なのでしょうか。カオリンは石材等の材料として知られる花崗岩が長い年月をかけて分解されることにより生成された物質で、ケイ酸塩化合物の一種です。油粘土を手に取って頂ければ分かりやすいかもしれませんが、白色、もしくは白に近い灰色で、吸湿性に優れているため触るとぬめりを感じます。焼成する前は手作業での加工が容易で、色合いも好ましかったため、陶磁器等の原料として広く用いられてきました。また、物質を吸着する力が強いことも特徴です。カオリンはいわゆる多孔質材料の一種で、細かい粒子の表面にはさらに小さな穴が無数に開いており、その小さな穴に物質を物理的に吸着させることが可能です。

しかし、カオリンは酸化チタンタルクマイカといった成分と比較すると白さが控えめなため、肌を白く見せるために使用する用途にはあまり向きません。また、物理的な吸着作用には優れていますが、保湿や美白といったスキンケアに必要な効果は持ち合わせていません。その為、化粧品の成分としてどうして採用されているのか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

カオリンの役割①パウダー製品の体質顔料

一見、メイクアップ、スキンケアどちらにも適していないように見えるカオリンですが、実は極めて重要な役割を持っています。それは「体質顔料」としての役割です。言葉にあまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、体質顔料とは化粧品に含まれる様々な成分を包み込み、肌の上に適切に塗るために必要とされる成分です。

 例えば肌を明るく見せるためのファンデーションを開発する場合、目的に合った成分として白色顔料である酸化チタンや酸化亜鉛が使われますが、仮に粉末をそのまま肌に塗った場合、肌に定着せずすぐに落ちてしまうため、化粧品としての役割を果たすことができません。また、化粧品をより使いやすく、高機能にするために様々な成分が加えられますが、それらの成分を上手く混ぜ合わせることが必要になります。

 カオリンは体質顔料として優れた役割を果たします。カオリン自体が化学的に不活性であり、かつ様々な物質を物理的に吸着するため、特に水や油に溶かし込む方法が使えないパウダー系の製品では、様々な成分を均一に混ぜ合わせるための仲介役を担います。カオリンは「油粘土」であるため好きな形に成型することが可能で、単体では若干ざらついた感触ですが、タルクやマイカといった他の顔料と一緒に使用することによって肌の上でも延びやすくなり、毎日のメイクを心地よくすることができます。

 カオリンの役割②油分の吸着、スクラブ効果

 一方、カオリンは体質顔料以外の用途でも使用されることがあります。「ホワイトクレイ」として単体で、あるいは洗顔料等に配合する形で利用されますが、カオリンをそのまま肌に塗った場合、体質顔料として使用した場合とは違った効果が得られます。

 カオリンの成分紹介の部分で、は粒子が細かく、吸着性に優れている旨を紹介しましたが、カオリンを肌に載せると細かい粒子が毛穴の間まで入り込んで毛穴の詰まりを解消する、いわゆるスクラブ効果を発揮します。スクラブ効果が期待される化粧品成分としてはマイクロビーズが有名ですが、カオリンはその効果に加えて優れた吸着性を発揮し、古い角質や汚れ、毛穴内の皮脂等、肌にとって不要な物質を吸着、除去する作用も持っています。この目的で使用する場合、ファンデーションのように肌につけたまま1日を過ごすのではなく、肌の上に載せ、数分後に洗い流す形で使用します。

 吸着作用の強さを求めるのであればモンモリロナイトやイライト等、より効果の強いクレーの仲間も存在します。しかし、吸着作用やスクラブ作用の強さは肌への刺激性や必要な皮脂まで取り除いてしまうことにも繋がります。カオリンの吸着作用はクレーの中では比較的穏やかな為、安心して使うことが可能です。

化粧品の成分、実は意外に身近な存在です

粘土遊びを始めた子供の頃、大人達が日々お化粧をしていることは知っていても、自分達が遊んでいるものを使ってお化粧をしているとは思いもしなかったでしょう。また、お化粧を日々するようになっても、容器や箱に書かれた成分の名称を見て、逆にそれがどのような原料から作られるかを想像するのは難しいかもしれません。

最近の化粧品には肌を綺麗に見せるだけではなく、肌をより良い状態に保つための様々な改良が加えられていますが、研究所生まれの全く新しい成分を使った化粧品、誰も考えもしなかった処方、といったものはほぼ存在しません。化粧品は既にある成分をより上手く組み合わせることによって、あるいは化粧品以外の目的で使われていた、あるいは自然に存在していた成分を化粧品に取り入れることによって生まれ、だからこそ安心して使用することが可能です。

もし貴方が化粧品についてもっと知りたい、もっと美しさを手に入れたい、と考えているのであれば、メイクの方法を学ぶのと同時に、成分についても学んでみると良いかもしれません。初めは戸惑うかもしれませんが、勉強を進めてゆく中で、消費者として化粧品をどう使えば良いか、安心して使えるものなのか、より理解を深められることでしょう。

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