使用目的:メークアップ化粧品の白色顔料、紫外線反射剤、抗炎症剤、収れん剤
類似した物質:酸化チタン、酸化アルミニウム
一緒に使われる物質:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、タルク、マイカ、シリカ
酸化亜鉛とは主にミネラルファンデーションや日焼け止め、ボディーパウダー等に含まれている成分で、組成式ZnOで示される白色、粉末状の無機化合物です。亜鉛華や亜鉛白と呼ばれることもあります。紀元前から様々な形で用いられていた歴史の古い物質ですが、化粧品に利用されるようなったきっかけは、白色成分である鉛白の毒性が問題になったため、それに代わる物質として提案されたことによります。
酸化亜鉛の特筆すべき性質としては光の屈折率の高さが挙げられ、同様の目的で使用される酸化チタンには劣るものの可視光を反射する作用が強いため、微粒子の状態で配合され、肌を白く見せるためのメークアップの成分として利用されます。また、紫外線も可視光と同様に反射するため、UVカットの目的でも広く利用されています。
化学的には比較的安定で水や油には溶けにくいのですが、酸やアルカリには少し溶けるため、皮膚に塗った場合、皮膚の油分(脂肪酸)を吸着させ、また、汗腺を塞ぐことによって肌を引き締める収れん作用があります。この作用は化粧品の用途だけではなく、医療用途としても利用されています。この際に少量の亜鉛イオンが溶け出すため、金属アレルギーの方は注意が必要です。また、光触媒作用があり光を受けると周囲の物質を酸化しますが、化粧品として使用した場合この作用の発揮は望ましくないため、シリカや水酸化アルミニウム等で表面処理を施すことによって不活性化しています。
他の酸化亜鉛固有の性質としては抗炎症作用が挙げられ、肌荒れの原因となる物質であるプラスミンを生成する働きのある酵素、ウロキナーゼの角質層での活性を抑制すること、また、皮膚表面を乾燥させることにより、炎症を抑える効果があります。
類似した性質を持った成分としては酸化チタンがあります。酸化チタンは酸化亜鉛より白色度や紫外線予防の部分で優れていますが、白浮き等が発生しやすいため使用感にやや劣り、また、化学的に安定でどのような物質にも溶けないため、抗炎症作用や収れん作用は有していません。また、より強力な収れん作用を持った他の物質としては酸化アルミニウムが挙げられますが、皮膚刺激性が強いため、酸化亜鉛等、より穏やかな作用を持った成分が好んで利用されています。
酸化亜鉛についての記事は「パウダーファンデーションは乾燥肌によくない?」「毛穴が広がる原因と基本的な毛穴ケア」「日焼け止めって肌に優しいの?ずっと使い続けても大丈夫?」
コメント