コチニール色素

成分

使用目的:口紅等、メイクアップ化粧品の赤色成分

類似した物質:タール色素、紅花色素

コチニール色素とは口紅、アイシャドウなどのメイクアップ化粧品の赤色の成分として使用されている有機成分で、多環性の芳香族化合物であるアントラセンの誘導体であるアントラキノンを構造に持っています。コチニール色素には化学的には幾つかの種類がありますが、総称してコチニール色素、もしくはカルミン酸色素と呼ばれています。天然由来の色素であり、コチニールカイガラムシ(エンジムシ)を乾燥し、水やエタノールで抽出することによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては天然由来の色素としては発色性、安定性の面で大変優れていることが挙げられます。コチニール色素は単体ではややくすんだ赤~紫色なのですが、pH調整剤と合わせて使用することにより鮮やかな赤色を示します。また、身体に対する安全性も高く、タール色素で懸念されている発がん性や催奇性等の作用も認められない為、食品や飲料向けの着色料として広く用いられてきました。

 このように一見して優れた成分ではあるのですが、コチニール色素の原料であるコチニールカイガラムシについてはエビ、カニなどの甲殻類と近縁種であり、色素の生産過程で原料由来のタンパク質を完全に除去できず、甲殻類アレルギー反応を引き起こす事例が確認されています。化粧品では多くの製品に使用されていますが、アレルギーについての注意喚起が行われるようになり、食品については海外を中心に使用をタール色素等、別な成分に置き換える試みがされています。

 同じような作用を持った成分としては、タール色素や紅花色素が挙げられます。タール色素はコチニール色素と同様に鮮やかな発色を期待するこができ、pHによる影響を受けにくいため広く用いられますが、石油由来の成分として、ナチュラルコスメなどの分野ではやや敬遠される傾向があります、一方、紅花色素は天然由来の色素で赤や黄色を表現することが可能で、ナチュラルコスメ等で好んで使用されますが、発色がやや弱いため官能的な色味を出すのはやや苦手です。

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