エチルシアノアクリレート

使用の目的：ネイル、マツエクなどのグルー

類似した成分：ブチルシアノアクリレート、オクチルシアノアクリレート

　エチルシアノアクリレートとはネイル、まつげエクステ等のグルーに利用されている成分で、化学式C6H7NO2で示されるアクリル樹脂の一種です。略称でECAと呼ばれることもあり、常温では無色透明の液体で、水に極めてよく溶け、アセトン等に比較的溶けやすい性質を持っています。工業的にはホルムアルデヒドとエチルシアノアセテートを縮合反応させることによって、大量に得ることができます。

　特筆すべき性質としては優れた接着能力が挙げられます。エチルシアノアクリレートを密閉された容器から絞り出すと空気中の水分と反応して速やかに重合し、高分子を形成します。この高分子は無色透明で引っ張り強度に優れ、水も溶けにくいため、爪とネイルを貼り合わせる、まつ毛とエクステンションを繋ぎ合わせる等の目的に適しており、よく用いられています。また、他のシアノアクリレート系成分と比較して速乾性、効果の持続性にも優れています。

　瞬間接着剤の成分としても有名で、少量で優れた接着力を示すため使い勝手の良い成分です。また、増粘剤系のグルーと比較すると糸引きなども発生せず、使用感にも優れています。しかし、重合反応を起こす際に多量の熱が発生してしまう、反応の過程で加水分解によってホルムアルデヒドが発生する等、一般的な化粧品成分と比較して使用上のリスクが大きいため、市販品の多くは化粧品ではなく「雑貨」扱いとして販売されています。使用する際には注意書きをよく読んだ上で、衣類に付着させない、肌に直接つけない、といった配慮が必要です。

　類似した成分としてはブチルシアノアクリレートが挙げられます。ブチルシアノアクリレートはエチルシアノアクリレートと同様にアクリル樹脂の一種で、接着剤として用いられていますが、速乾性に劣るものの、その分発熱やホルムアルデヒドの発生は抑制されており、安全に使うことができます。そのため、まつげなどに用いるグルー成分としてはより好んで用いられています。