使用の目的:基剤成分、バリア機能の改善
類似した成分:シアバター、ココア脂
馬油とは一部のスキンケア、ヘアケア製品に使用されている成分で、オレイン酸やパルミチン酸、リノール酸を主成分としています。「まーゆ」もしくは「ばーゆ」と読み、常温では白色〜黄色の固体で、水に馴染みにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。食用として利用される馬の腹や首周りの脂肪を採取することによって得られるため、馬肉の有名な地域で特産品として利用されています。
特筆すべき性質としては基剤成分としての使い勝手の良さが挙げられます。馬油の融点は30℃〜35℃付近であるため、室温では固体ですが、ぬるま湯や肌の温度で溶けて液体になります。また、オレイン酸やリノール酸を主成分としているため皮脂との馴染みもとても良く、皮脂の代わりとなるため、肌や髪のバリア機能を改善する効果も期待できます。
天然由来で皮脂に近い物質を主成分としているため、刺激性や毒性もなく安全、安心に利用可能です。また、保湿効果もあるため乾燥によるシワを目立ちにくくする効果も期待できます。しかし、原料である馬を食用とする地域が少ないため利用は限られており、また、高温で溶けてしまうため、馬油を主成分とした製品の保管場所には注意が必要です。
類似した成分としてはシアバターやカカオ脂が挙げられます。シアバターやカカオ脂は組成が馬油とよく似た油でオレイン酸やステアリン酸を主成分としており、馬油と同様に体温付近で溶けるため、化粧品の基剤として、あるいは「とろける」効果を持たせる目的で広く利用されています。シアバターの方がやや融点が低いこと、また、植物由来で大量生産が可能なことから、化粧品成分としてはより一般的です。
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