使用の目的:基剤成分、バリア機能の改善
類似した成分:シアバター、馬油
カカオ脂とは様々な化粧品に利用されている成分で、オレイン酸やパルミチン酸、ステアリン酸を主成分としています。カカオバターやココアバターと呼ばれることもあり、常温では薄黄色の固体で、水に溶けにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。工業的にはココアパウダーやチョコレートの原料であるカカオの脂肪分を分離、抽出することによって得られます。
特筆すべき性質としては基剤成分としての使い勝手の良さが挙げられます。カカオ脂の融点は32-39℃付近であるため、室温では固体ですが、ぬるま湯や肌の温度でチョコレートのように溶けて液体になります。また、オレイン酸等を主成分としているため皮脂との馴染みもとても良く、皮脂の代わりとなるため、肌のバリア機能を改善する効果も期待できます。
天然由来で皮脂に近い物質を主成分としているため、刺激性や毒性もなく安全、安心に利用可能です。また、皮脂を補うことによって肌から水分が失われにくくなるため、ある程度の保湿効果も期待することができます。しかし、保湿効果についてはより皮脂に近い組成のシアバターに及ばず、また、シアバターや馬油よりも常温では硬いため、クリームのような製品には不向きです。
類似した成分としてはシアバターや馬油が挙げられます。シアバターや馬油はカカオ脂と同様にオレイン酸を主成分としており、カカオ脂と同様に体温付近で溶けて液体になりますが、固体であってもより柔らかいのが特徴です。そのため、カカオ脂が口紅などしっかりとした形が求められる製品への利用が多いのに対して、シアバターや馬油はクリームやヘアケア製品など、より柔らかさが好まれる製品に利用されます。
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