使用目的:口紅等、メイクアップ化粧品の色成分
類似した物質:コチニール、紅花色素
タール色素とは主に口紅等、メイクアップ化粧品の色成分として広く使用されている有機顔料の総称で、化粧品向けには83種類のものが認可されています。かつては名前の通り石炭由来のコールタールから合成されていましたが、現在では石油由来の成分であるナフサを主な原料として合成されています。「色の種類」「〇〇号」と表記されることが一般的で赤色が最もよく使用されますが、青色や黄色、緑色の色素も開発され、使用が認可されています。代表的な化合物は構造中の結合にちなんでアゾ色素と呼ばれることがあり、また、近年では製法の多様化を考慮し、有機合成色素と呼ぶこともあります。
特筆すべき性質としてはその着色力と安定性の高さが挙げられます。天然色素と比較して鮮やかな色味を出すことができ、また、熱にも光にも強い性質を持っており付着力も強いため、タール色素は化粧品のみならず食品等にも広く用いられてきました。多くの色を持った種類が存在し、また、それらを組み合わせることにより、より多くの色を表現することが可能です。
食品等にも使用されており、化粧品向けのものについては安全性の確認がされているため、短期的な使用については問題がないとされていますが、特に染料向けのタール色素について、色素が沈着することによる肌荒れや、体質によってはアレルギー反応を起こしてしまうことが報告されています。また、欧米の一部の国では長期間使用することにより、発がん性が高まることが懸念されており、日本で認められているものについても化粧品への使用を禁止しています。
類似した目的で使用される成分としてはコチニールや紅花色素が挙げられ、これらは天然成分由来の色素として、口紅等の赤色を表現する為に使用されています。タール色素より自然な発色が特徴で、タール色素にアレルギーのある人でも利用することが可能ですが、これらも体質によってはアレルギーの原因となるため使用の際には注意が必要です。
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