使用の目的:増粘剤、毛髪のダメージ補修
類似した成分:カラギーナン
フノリ抽出物とは一部のヘアケア製品に利用されている成分で、多糖類の一種であるフノランを主成分としています。常温では無色透明の液体で、工業的には海藻の一種であるフノリから有効成分をBGで抽出することによって得られますが、かつては水やお湯を使って煮出したものも用いられていました。
特筆すべき性質としては優れた粘着作用が挙げられます。主成分のフノランは粘着性に優れており、髪につけると皮脂や汚れを吸着し、洗い流しやすくします。そのため、石鹸が一般的になる前の日本では、灰汁やうどん粉などと共に、洗髪を目的として用いられていました。また、フノランには高い保湿作用や皮膜形成作用も確認されており、毛髪の水分量を増やし、ダメージを修復する効果を期待できます。
天然由来の成分で食品としてもお馴染みのもので、肌への毒性や刺激性もないため、安心、安全に利用することができます。また、不要な皮脂や汚れを吸着して落とすため、皮脂を取り除き過ぎてしまう心配もありません。しかし、フノリ自体が環境の影響を受けやすく、また、収穫も手摘みに頼っているため、生産性には課題があります。
類似した成分としてはカラギーナンが挙げられます。カラギーナンはフノリ抽出物と同様に多糖類を主成分とした多糖類で、増粘剤、あるいは保湿成分として化粧品に用いられていますが、フノリ抽出物とは感触が大きく異なります。化粧品にはそれぞれの性質を活かす形で使い分けがされていますが、カラギーナンの方がより一般的に用いられています。
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