使用の目的:pH調整剤
類似した成分:クエン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸
リン酸ナトリウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式H2NaPO4で表されるナトリウム塩の一種です。正式にはリン酸二水素ナトリウムと呼ばれ、常温では白色の結晶で、水に溶けやすく、他の溶媒には溶けにくい性質を持っています。工業的にはリン酸を水酸化ナトリウム等で部分中和することによって得られます。広義のリン酸ナトリウムには他に「リン酸一水素ナトリウム」が「リン酸三ナトリウム」がありますが、化粧品にはリン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウムの2種類が用いられています。
特筆すべき性質としては優れたpH調整剤、緩衝剤としての作用が挙げられます。リン酸ナトリウム水溶液のpHは常温で4.5前後と弱酸性を示しますが、リン酸やリン酸一水素ナトリウムと組み合わせて使用することによって任意のpHを調整可能です。また、緩衝作用に優れているため、調整された溶液のpHは非常に安定しており、他の成分の添加や空気中の二酸化炭素などによる影響を受けにくいのが特徴です。
食品添加物としてもお馴染みの成分で、常識的な範囲で利用する分には安心、安全に使用可能な成分です。また、pH調整、緩衝剤としての作用の他に、保湿効果等も期待することができます。しかし、他の成分と比較した場合、リン酸ナトリウム自体の肌への効果が控えめであるため、他の成分が利用されることがあります。
類似した成分としてはクエン酸ナトリウムが挙げられます。クエン酸ナトリウムはクエン酸との組み合わせで弱酸性のpHを調整可能ですが、クエン酸に肌の引き締めや殺菌効果が期待できるため、より成分としての応用範囲が広くなります。その為、化粧品成分としてはクエン酸の方がやや好んで利用されています。
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