男性向けスキンケア化粧品ってどんな特徴があるの?どう選べばいいの?

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男性と化粧の歴史

 常に時代に合わせた話題を提供し続けている化粧品業界ですが、現在、男性向けの化粧品がにわかに脚光を浴びています。コロナウイルスの感染拡大影響で前年比10%程度落ち込んだ2020年の化粧品全体の売上ですが、男性向け化粧品に関しては前年比104%、5年前と比較して112%と順調に推移しています。より多くの男性が、自分の肌のケアに対して関心を向けるようになっています。

(参考文献:https://www.intage.co.jp/news_events/news/2021/20210422.html

 近代以降は女性の嗜みとして考えられることが多かった化粧ですが、歴史を紐解くと、化粧は男女関係なく嗜むものでした。昔はおしろいや頬紅などが高価だったため、比較的裕福な人に限られたものではあったのですが、戦国時代の武将も「戦場に行くためには綺麗でありたい」と考え、化粧を整えていったエピソードが数多く残っています。近代以降、映画「1917 命をかけた伝令」のような泥沼や砂埃の中での戦争が増え、その姿が男性らしさの象徴となったため、今度は「ノーメイク」が主流になったという興味深い経緯があります(映画の冒頭にもヘアオイルをつけたらネズミに耳をかじられたシーンが登場します)。現在のブームは以前の姿に戻った、といっても良いのかもしれません。

男性特有の肌の悩みってどんなもの?

 現在、男性用の化粧品としては多くの種類が発売されていますが、ファンデーションやポイントメイクの分野に関しては男性のメイクがまだ一般的ではないこともあり、大きな違いはありません。パッケージや容器のデザインはより中性的もしくは男性的ですが、成分は似たようなものとなります。しかし、スキンケアに関しては、男性特有の悩みにフォーカスした商品が多く発売されています。

 肌における男性特有の悩みとはどのようなものなのでしょうか。男性、女性の肌の性質を分けるものとして、肌の油分量に大きな違いがあります。女性の肌はやや油分が不足気味で、肌の表面から水分を逃がさないためのスキンケアが必要になるのに対し、男性の肌はやや油分が過剰で、皮脂過剰によるトラブルに悩まされる傾向にあります。どちらも化粧品による保湿は必要になりますが、肌に水分を補った上で、プラスアルファで必要なものが変わってきます。

また、男性特有の悩みとして、「ひげ」の処理があります。女性の方でも産毛が生えることがありますが、男性のひげは硬くて伸びやすく、整えたい場合は毎日剃ることが必要になります。最近では電動シェーバー等、肌に負担が少ないものも多く開発されていますが、毎日剃刀を使うことによって肌の表面が傷つけられ、肌荒れやひげがより濃く見える原因ともなるため、ひげをより剃りやすくする、あるいは剃った後の皮膚の炎症を抑えるためのケアが必要になります。

男性用化粧品に含まれている成分ってどんなもの?

  男性用化粧品に含まれている成分は基本的には女性向けと大きく変わりません。しかし、男性向けのものには男性特有の肌の悩みを解決するため、皮脂の量を調整する成分やひげ剃りによって傷ついた肌の炎症を鎮めるための成分が好んで取り入れられています。

 最近では男性向け化粧品にも低刺激なものが多くなりましたが、以前は普及価格帯のものを中心に、冷涼感を前面に打ち出した商品が多く発売されていました。これは、スポーツや屋外作業に従事する男性を中心に使用感が好まれただけではなく、冷涼感を生み出す成分であるエタノールメントールが皮脂を取り除き、かつ、毛穴を引き締めて皮脂の分泌を抑える働きを持っているためです。現在でも引き続き使用されている成分ですが、肌への刺激がやや強く、かつエタノールは肌の皮脂を過剰に取り除いてしまい乾燥の原因ともなるため、より穏やかな引き締め作用を持ったクエン酸やコハク酸等に置き換えられています。

 また、肌の炎症を鎮めるための成分としてはニキビ予防の成分としても知られているグリチルリチン酸2K、皮膚病の治療薬としても用いられているアラントイン、各種の植物エキス等が取り入れられており、しばしば殺菌を目的としたエタノール等と組み合わせて使用されています。

男性向けスキンケア化粧品、どうやって選べばいいの?

 「皮脂をコントロールする」「肌の炎症を鎮める」ことにフォーカスした男性向けスキンケア化粧品ですが、数ある製品の中でどのように選べば良いのでしょうか。あるいは、女性向けのスキンケア化粧品を利用する際、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

 男性も積極的に取り入れた方が良い成分としては、ヒアルロン酸セラミド等の保湿成分が筆頭に挙げられます。男性は比較的脂性肌の傾向があり、女性と比較して肌の水分は蒸発しにくいのですが、肌内部の保湿力については変わらないため、特にアルコール等で表面の皮脂を取り除いた場合は保湿成分を補い、肌により多くの水分をとどめるようにすることが重要です。また、屋外での活動を行う場合はUVカット効果のある製品を取り入れることも効果的です。日焼けは男女を問わず肌にダメージを与え、シミ等の原因ともなるため、肌への刺激が少ないSPF15~30程度の弱いUVカット効果を持ったものがお勧めです。また、ひげ剃りを毎日する方であれば、「オウゴン根エキス」「カンゾウ根エキス」などの植物由来の抗炎症成分によるケアが効果的です。

 一方、重めの使用感の保湿クリーム等については、乾燥肌に悩まされていないのであれば避けた方が良いでしょう。保湿クリームには油性の保湿成分が多く含まれており、乾燥肌の女性にとっては欠かせないアイテムになりますが、脂性肌の男性が使用すると油分過剰になってしまいます。男性向けの化粧水や乳液については女性向けと比較して油分の少ない軽めの使用感のものが多いのですが、主な理由は化粧品に含まれている油分の量によるものです。もし重めの使用感を好むのであれば肌への密着感があり、かつ油分のようなべたつきの原因とはならないカルボマーを配合した製品を使用するものもお勧めです。

 まだまだ発展途上の部分もある男性向けスキンケア化粧品ですが、貴方の印象アップの手段の1つとして、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。色々と面倒と感じる方は1本で全てのスキンケアをまかなえるオールインワンコスメの選択肢もあり、最近では効果の高い製品が数多く発売されています。近い将来、男性も再びあれこれと化粧品を選び、話題に花を咲かせる時代が来るかもしれません。

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