美容に「ウコン」が効果的?どんな力を持っているの?

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美容にウコンが効果的?

 あなたはカレーは好きですか。食欲が失せがちな夏の時期でも、スパイスたっぷりのカレーは不思議と食欲をそそり、ついつい食べ過ぎてしまうものです。そして、このカレーに使われている代表的なスパイスがターメリック、和名ではウコンと呼ばれるものです。ウコンは味こそ控えめですが、その特徴的な黄色は私達の食欲を大いに刺激します。また、アルコールの分解をサポートし、宿酔いを防止する成分としても知られており、コンビニなどでも手軽に栄養ドリンクやサプリメントを購入することができます。

 このように私達の生活に深く結びついているウコンですが、実は化粧品成分として私達の「美しさ」を支えてくれる存在でもあります。その用途としてよく知られているものは黄色、もしくはオレンジの色素としてのものですが、最近になってウコンの持つ特別な作用、すなわち、私達の肌や髪の「老化」を防ぐ効果が着目され、スキンケア化粧品、育毛剤などに取り入れられるようになっています。それは一体どのようなものなのでしょうか。

ウコンの主成分「クルクミン」とその性質

 ウコンには身体に良いミネラルや食物繊維などが豊富に含まれていますが、中でも注目すべき成分はクルクミンと呼ばれるポリフェノールの一種です。クルクミンはいわゆるフィトケミカル(植物が自身を守るために生体内で合成する成分)に分類され、ウコンの鮮やかな黄色の源となっています。食用の「ウコン色素」としても知られており、そのままの状態では水に溶けにくいといった欠点はあるものの、手軽に利用できる成分として、加工食品や入浴剤などの着色料として利用されてきました。

 そんなクルクミンですが、実は文字通りの「才色兼備」の存在で、他にも様々な効果を期待できます。代表的なものとしては抗酸化作用が挙げられます。抗酸化作用は多くのポリフェノールに共通の性質で、構造中の複数のヒドロキシル基(カテコール構造)と呼ばれる部分が相互作用することにより、肌につけると紫外線等の影響で発生した活性酸素を無害化し、ダメージを抑制します。また、ポリフェノール共通の抗菌作用も持ち合わせているため、雑菌による肌への影響も抑えることができます。しかし、クルクミンが注目されている理由はそれだけではなく、そのよりユニークな作用によるものです。

ウコンの効果①紫外線によるコラーゲンの分解を抑制

 クルクミンは紫外線によって発生した活性酸素を抑制するだけではなく、紫外線による望ましくないコラーゲンの分解反応を抑える作用も確認されています。肌の真皮層には弾力性に富んだタンパク質の一種であるコラーゲンが豊富に含まれており、肌のハリを保つ役割を担っていますが、紫外線を浴びるとその刺激によって炎症性サイトカインと呼ばれる成分が発生し、コラーゲン分解酵素の合成を促進します。その結果、真皮層に存在するコラーゲンは分解されて失われ、肌のハリが失われたり、シワが発生したりする原因となります。また、この酵素はコラーゲンの合成自体も阻害するため、悪影響が持続してしまいます。

 クルクミンは炎症性サイトカインによるコラーゲン分解酵素の合成を抑えます。そのため、紫外線を浴びてもコラーゲンが分解されにくくなり、結果として肌のシワやたるみの発生が抑えられます。また、先に述べた抗酸化作用によって活性酸素自体の作用を抑える効果も期待できるため、シワやたるみに加えて活性酸素によるシミやくすみの発生も抑えることが可能です。

ウコンの効果②抜け毛の抑制

 クルクミンは肌にとって嬉しい作用を持っているだけはなく、男性特有の悩みにも寄り添う存在です。中年を迎える男性の悩みの1つとして、髪の毛が減ってしまうことが挙げられます。脱毛自体は加齢に伴い女性にもみられる症状ですが、いわゆる「男性型脱毛」はより深刻な問題で、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5α-リダクターゼと呼ばれる酵素によってDHT(デヒドロテストステロン)に変化し、その作用で脱毛を促進することにより、正常な髪の毛が育たない状態となってしまいます。

 クルクミンはテストステロンが5α-リダクターゼによってDHTに変化する反応を阻害します。そのため、頭皮につけると脱毛を引き起こすDHTの合成、及びそれによる脱毛を抑制することができます。いわゆる「育毛剤」の多くは皮脂の過多や栄養不足によって悪化した頭皮の環境を整え、髪の毛が育つ環境を整えるものが多いのですが、クルクミンは脱毛の原因により直接的にアプローチすることにより、男性にとって嬉しい効果を期待することができます。

 「才色兼備」の存在として

 このように、ウコン、及びその主成分であるクルクミンはスパイスとしてだけではなく、化粧品の成分としても私達をサポートしてくれる「才色兼備」の存在です。サプリメントとしてのウコンは過剰摂取で肝臓を悪くするリスクが指摘されていますが、化粧品成分としてはごく僅かにアレルギーの症例があるものの、基本的には安心して利用可能な成分です。文字通りの「色物」で水に溶けにくいといった短所はありますが、克服するための技術も開発されつつあります。

 これまでカレーやサプリメントといった「食べる」「お酒を飲む」を支える成分として大活躍していたウコンですが、そのイメージが強すぎるがあまり、その美容に関する効果はやや過小評価されていました。しかし、そのイメージは化粧品成分として注目されつつある中で、徐々に変化しています。近い将来、ウコンといえば化粧品を思い浮かべ、「実は宿酔いにも効く」ライフハックが紹介されるようになる日も来るかもしれません。

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