使用の目的:キンモクセイの香料、匂いのマスキング
類似した成分:リナロール
β-イオノンとはキンモクセイに含まれている香り成分で、化学式C13H20Oで表されるセスキテルペンの一種です。ヨノンと呼ばれることもあり、常温では淡黄色〜黄色の液体で、水に溶けにくく、エタノールやアセトンによく溶けます。キンモクセイの他にはニオイスミレやラズベリー、ピノ・ロワールの果実などに含まれていますが、工業的には香料として知られているシトラールにアセトンを縮合させることによって得られます。
特筆すべき性質としては特徴的な甘い匂いが挙げられます。キンモクセイの香り成分には他にリナロールやラクトンC10等が存在しますが、β-イオノンの匂いは他の成分よりもかなり感知されやすいため、「花から漂うキンモクセイの花の香り」はこの成分によるものと言われています。また、β-イオノンの匂いは他の好ましくない臭いをマスキングする効果があるため、その目的で用いられることもあります。
天然由来の成分で肌への刺激性や毒性もなく、安心、安全に利用可能な成分です。また、甘く優しい匂いは夏場にはやや不向きですが、秋から冬にはとても適しています。しかし、β-イオノンの匂いの感じ方には個人差があり、人によっては匂いが強すぎると感じたり、芳香剤の「好ましくない」匂いとして感じてしまったりすることがあります。
類似した成分としてはリナロールが挙げられます。リナロールはβ-イオノンと同様にキンモクセイに含まれている香り成分で、甘い匂いを感じさせますが、その匂いはラベンダーなどの多くの種類の花に含まれているため、より馴染み深いものです。マスキング効果こそ控えめなものの、化粧品向けの香料の成分としてはより一般的に利用されています。
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