使用の目的:基剤成分、増粘剤
類似した成分:パルミチン酸
モクロウとは主にメイクアップ製品やヘアケア製品に利用されている成分で、炭素数16の飽和脂肪酸であるパルミチン酸を主成分とし、他はステアリン酸やオレイン酸、C20とC22の二塩基酸である日本酸などを含んでいます。常温では白色~黄褐色のロウ状の固体で、水にはほとんど溶けませんが、油性成分とはよく馴染みます。製法としてはウルシ科の植物であるハゼノキの果実を蒸した後に圧搾し、脂肪分を抽出することによって得られます。
特筆すべき性質としては基剤成分としての独特の質感が挙げられます。モクロウに含まれている「日本酸」は粘度が非常に高いため、化粧品に配合すると少量でも質感が粘り強くなります。そのため、口紅やクリーム、ヘアワックス等、肌や髪への密着感が大事とされるジャンルでは好んで利用されます。また、油分由来の光沢感は髪の毛の艶出し等に効果的です。
天然由来で伝統的に利用されてきた成分で、刺激性や毒性も確認されていないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、かつてはポマードやチックなどのヘアケア製品に多く利用されており、日本国内でも多く生産されていました。しかし、より安価で使い勝手の良い合成ワックスやカルナウバロウ、キャンデリラロウ等が好まれるようになり、近年では生産量が落ちてしまっています。
類似した成分としてはパルミチン酸が挙げられます。パルミチン酸は炭素数16の飽和脂肪酸でヤシ油等に多く含まれており、モクロウの主成分でもありますが、粘度の高い日本酸を含んでいないため質感は大きく異なります。基剤成分としての利用が多いモクロウに対して、パルミチン酸は主に石鹸の原料として用いられています。
コメント