使用の目的:酸化防止剤
類似した成分:没食子酸プロピル、カキタンニン
没食子酸とは一部の化粧品に利用されている成分で、化学式C7H6O5で表される有機酸の一種です。低分子化合物ですが、その性質から「ポリフェノール」に分類されることもあり、常温では白色もしくは褐色の粉末状の物質で、水やエタノールに溶けやすく、油と馴染みにくい性質を持っています。天然由来の成分で、樹木の虫こぶから抽出して得られるほか、最近では微生物発酵によって合成したものも商用化されています。
特筆すべき性質としては優れた酸化防止剤としての性質が挙げられます。没食子酸はポ構造中のカテコール骨格に由来する強い抗酸化作用があり、紫外線などによって発生した活性酸素を不活性化することにより、化粧品の酸化による劣化をよく防ぎます。また、肌への活性酸素の作用が抑えられることにより、肌への刺激やシミ、ソバカスなどを防ぐ効果も期待できます。
天然由来の成分で肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、没食子酸には収れん作用も期待できるため、毛穴や引き締めたり、髪を保護したりする作用も期待できます。しかし、光によって変質しやすく、また、そのままでは油分とほとんど馴染まないため、油性化粧品の酸化防止剤としてはやや不向きです。
類似した成分としては没食子酸プロピルが挙げられます。没食子酸プロピルは没食子酸のプロピルエステルで、同様に酸化防止剤として用いられますが、比較的水に溶けにくく、油と馴染みやすいことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、酸化防止剤に求められる役割が「油分の酸化を防ぐ」ことであるため、没食子酸プロピルの方がより一般的に用いられています。