使用の目的:酸化防止剤
類似した成分:没食子酸、カキタンニン
没食子酸プロピルとは油性化粧品を中心に利用されている成分で、化学式C10H12O5で表される有機酸のプロピルエステルです。低分子化合物ですが、その性質から「ポリフェノール」に分類されることもあり、常温では白色もしくは褐色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、エタノールや油分と比較的馴染みやすい性質を持っています。工業的には没食子酸とプロピルアルコールを反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては優れた酸化防止剤としての性質が挙げられます。没食子酸プロピルは構造中のカテコール骨格に由来する強い抗酸化作用があり、紫外線などによって発生した活性酸素を不活性化することにより、化粧品の酸化による劣化をよく防ぎます。また、肌への活性酸素の作用が抑えられることにより、肌への刺激やシミ、ソバカスなどを防ぐ効果も期待できます。
天然由来の成分で肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、酸化防止剤としての作用は他の酸化防止剤として使用される成分よりも強力で、かなりの効果を期待することができます。しかし、他の酸化防止剤と比較して水に馴染みにくく、油とも比較的馴染みにくいため、使用する際はトコフェロールなどと併用するなどの工夫が取られています。
類似した成分としては没食子酸が挙げられます。没食子酸は没食子酸プロピルと同様に酸化防止剤として用いられますが、より水に馴染みやすく、油と馴染みにくいことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、より油と馴染みやすい没食子酸プロピルの方が使い勝手が良いため、好んで利用されています。