ルチン

成分

使用の目的:酸化防止剤

類似した成分:ケルセチン

 ルチンとは一部の化粧品に利用されている成分で、化学式C27H30O16で表されるフラボノイド配糖体の一種です。稀にビタミンPと呼ばれることもあり、常温では黄色もしくは黄緑色の粉末状の物質で、水やエタノールに溶けにくく、グリセリンにやや溶けやすい性質を持っています。天然に豊富に存在する成分で、マメ科のエンジュやソバ、アズキなどから抽出して得ることができます。

 特筆すべき性質としては優れた抗酸化作用が挙げられます。ルチンには構造中のカテコール骨格に由来する強い抗酸化作用があり、紫外線などによって発生した活性酸素を不活性化することにより、化粧品の酸化による劣化をよく防ぎます。また、肌への活性酸素の作用が抑えられることにより、肌への刺激やシミ、ソバカスなどを防ぐ効果も期待できます。

 天然由来で食品としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、酸化防止剤の中では熱安定性が高く、他に紫外線吸収作用なども持ち合わせています。しかし、水にも油にも比較的馴染みにくいため化粧品に配合しにくく、現時点では比較的限られた用途でのみ利用されています。

 類似した成分としてはケルセチンが挙げられます。ケルセチンはルチンと同様に抗酸化作用や紫外線吸収作用を持った成分として知られており、酸化防止剤として用いられていますが、水に極めて溶けにくく、油にやや溶けやすい性質を持っています。化粧品にはそれぞれの役割を活かす形で使い分けがされていますが、水に若干でも溶けるルチンの方がより好んで用いられています。

タイトルとURLをコピーしました