メタリン酸ナトリウム

成分

使用の目的:金属イオン封鎖剤

類似した成分:EDTA-2Na

 メタリン酸ナトリウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式(NaPO3)nで表されるリン酸重合体のナトリウム塩です。様々な重合度を示すリン酸の混合物で、常温では白色の粉末状の物質で、水に溶けやすい一方、エタノールや油性成分にはほとんど溶けません。工業的にはリン酸と炭酸ナトリウムを原料として合成されます。

 特筆すべき性質としては優れた金属イオン封鎖剤としての効果が挙げられます。水道水、あるいは化粧品に使用される水には金属イオンが含まれていますが、肌にとって欠かせない栄養素である一方で、石鹸の泡立ちを悪くしたり、他の化粧品成分を変色、沈殿させたりする原因にもなります。メタリン酸ナトリウムは金属イオン、特にマグネシウムイオンやカルシウムイオンと反応して錯体を形成することにより、このような化粧品の品質や使い勝手を維持する上で望ましくない作用を妨げる効果を期待できます。

 食品や医薬品の添加物としてもお馴染みで、肌への刺激性や毒性も認められておらず、金属アレルギーを緩和する効果もあるため、安心かつ安全に利用可能な成分です。また、メタリン酸ナトリウムのpHは弱酸性で肌表面のpHと近いため、化粧品への利用に最も適しています。しかし、成分が環境中に流出するといわゆる「富栄養化」が発生し、周囲の生態系に影響を及ぼしてしまいます。

類似した成分としてはEDTA-2Naが挙げられます。EDTA-2Naはエデト酸の2ナトリウム塩で、メタリン酸ナトリウムと同様に金属イオン封鎖剤として利用されますが、よりキレート作用が強く、また、生分解性を持たないことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされますが、より作用の強いEDTA-2Naの方がより好んで用いられています。

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