使用の目的:酸化防止剤
類似した成分:ルチン
ケルセチンとは一部の化粧品に利用されている成分で、化学式C15H10O7で表される複素環式化合物の一種です。稀にビタミンPと呼ばれることもあり、水やエーテルにほとんど溶けず、エタノールや油性成分と比較的馴染みやすい性質を持っています。リンゴやタマネギ、茶葉など天然に豊富に存在する成分で、溶媒抽出することによって得ることができます。
特筆すべき性質としては優れた抗酸化作用が挙げられます。ケルセチンには構造中のカテコール骨格に由来する強い抗酸化作用があり、紫外線などによって発生した活性酸素を不活性化することにより、化粧品の酸化による劣化をよく防ぎます。また、肌への活性酸素の作用が抑えられることにより、肌への刺激やシミ、ソバカスなどを防ぐ効果も期待できます。
天然由来で食品としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性もないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、酸化防止剤の中では熱安定性が高く、他に紫外線吸収作用なども持ち合わせています。しかし、油とは馴染みやすいものの、水にほとんど溶けないため化粧品成分としての使い勝手が悪く、現時点では比較的限られた用途でのみ利用されています。
類似した成分としてはルチンが挙げられます。ルチンはケルセチンと同様に抗酸化作用や紫外線吸収作用を持った成分として知られており、酸化防止剤として用いられていますが、水に比較的溶けやすいことが特徴です。化粧品にはそれぞれの役割を活かす形で使い分けがされていますが、使い勝手の面からルチンの方が好んで用いられます。