使用の目的:pH調整剤、角質層の軟化
類似した成分:クエン酸
リンゴ酸とは化粧品に幅広く含まれている成分で、化学式C4H6O5で表されるヒドロキシカルボン酸の一種です。常温では白色の結晶で、水やエタノールに溶けやすい一方、エーテルや油性成分にはほとんど溶けません。オキシコハク酸と呼ばれることもあり、天然にはリンゴやブドウに含まれる他、人体でも炭水化物からエネルギーを産み出す過程であるクエン酸回路を形成する成分の1つとして、重要な役割を担っています。工業的には無水マレイン酸を水和させることによって合成されます。
特筆すべき性質としては優れたpH調整剤としての作用が挙げられます。リンゴ酸のpHは常温で2.8前後とやや強い酸性を示しますが、他の酸性成分と組み合わせることによって任意のpHを調整可能です。また、肌に塗ると角質層を軟化させる効果があるため、古い角質の剝落を促進し、肌のターンオーバーを促進させます。
食品添加物としてもお馴染みの成分で、体内にも存在する成分のため安心、安全に利用可能な成分です。しかし、主に海外の化粧品で角質軟化を目的として利用する場合、高濃度のリンゴ酸が配合されていることがあり、その場合はやや肌への刺激を強く感じます。
類似した成分としてはクエン酸が挙げられます。クエン酸はリンゴ酸と同様にヒドロキシカルボン酸の一種で、pH調整や角質軟化作用を目的として利用されますが、常温でのpHが2.3で、リンゴ酸と比較してやや酸性が強くなります。また、クエン酸はクエン酸ナトリウムとの組み合わせで強いpH緩衝作用を発揮するため、製品の安定化を目的としてしばしば用いられます。(リンゴ酸とリンゴ酸ナトリウムの間でも強い緩衝作用は期待できますが、コストの面でクエン酸の方が優れています)
コメント