使用の目的:増粘剤
類似した成分:ジステアルジモニウムヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト
ヘクトライトとは一部のメイクアップ製品に利用されている成分で、化学式Na0.33(Mg2.67Li0.33)(Si4O10)(OH)2で表される粘土鉱物の一種です。常温では白色の粉末状の物質で、水、油いずれにも溶けにくい性質を持っています。天然に広く存在する物質で、工業的にはベントナイト採掘の際に得られたものが利用されています。
特筆すべき性質としては優れた増粘作用が挙げられます。ヘクトライトは水に溶けにくい成分ですが、水中で膨潤して粒子が分散し、溶液の粘度を上昇させる作用があります。この状態のゲルは優れたチキソトロピー性を示すため、手にとって肌につけるときは適度に柔らかく、つけた後はしっかりと付着します。また、ヘクトライトは他の粘土鉱物と同様に付着性に優れているため、皮脂や汚れを吸着させ、洗い流す目的でも利用することが可能です。
化学的に非常に安定で、肌への刺激性や毒性も確認されていないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、ヘクトライトはもっぱら化粧品生産の目的で用いられるため、安定して入手可能です。しかし、無機鉱物由来の成分で油分と馴染みにくいため、油分の多いメイクアップ製品との相性は必ずしも良くありません。
類似した成分としてはジステアルジモニウムヘクトライトが挙げられます。ジステアルジモニウムヘクトライトはヘクトライトにステアリン酸のアンモニウム塩であるジステアリルジモニウムクロリドを反応させて得られる物質で、同様に増粘作用を示しますが、ヘクトライトが水と馴染みやすいのに対して、油と馴染みやすい性質を持っています。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされています。
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