使用目的:肌表面のシワの改善
類似した成分:ナイアシンアミド
レチノールとは美容液やクリーム等を中心に使用されている成分で、化学式C20H30Oで表されるビタミンAの一種です。単体ではやや不安定なため、化学的に安定化(パルミチン酸レチノール等)して用いられることが多く、安定化されたレチノールは総称してビタミンA誘導体とも呼ばれます。水には溶けにくい一方で油には溶けやすく、油に溶けた状態ではオレンジ色を示します。
特筆すべき作用としては肌表面のシワを改善する働きが挙げられます。レチノール誘導体を肌に塗ると肌のターンオーバーが改善され、表皮層でのコラーゲンの合成が促進されます。その結果として肌がよりハリを持つようになり、水分保持量も大きく向上します。シワの改善効果をうたった化粧品成分は幾つか存在しますが、レチノールは医薬部外品として認められており、より効果が期待できます。また、レチノールは抗酸化作用も持っており、肌の表面に塗ることによって活性酸素による肌へのダメージを防ぐことができます。
基本的には安全、安心に使用できる成分ですが、使用には若干の注意が必要です。レチノールが不足する肌に化粧品を使うと急激にターンオーバーが改善されますが、それに伴って一時的にレチノイド反応と呼ばれる肌荒れやかゆみの反応が起こることがあります。レチノイド反応は時間の経過によって改善しますが、使用する際には肌への刺激を抑えるための工夫が必要です。また、近年では誘導体ではない純粋レチノールと呼ばれる成分が取り入れられており、シワの改善についてより高い効果が期待できますが、特に紫外線に対して不安定なため、夜間のみの使用が推奨されています。
同様の効果を持った成分としてはナイアシンアミドが挙げられます。ナイアシンアミドはレチノールと同様にコラーゲンの合成を促進しますが、レチノールが油に溶けやすいのに対してナイアシンアミドは水に溶けやすいため、製品の性質に合わせて使い分け、もしくは併用されています。
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