トリクロカルバン

使用の目的:殺菌

類似した成分:トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ミコナゾール硝酸塩

 トリクロカルバンとは一部のハンドソープやボディーソープに利用されている成分で、化学式C13H9Cl3N2Oで表されるカルバニリド誘導体の一種です。常温では白色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、アルコールに溶けやすい性質を持っています。工業的には3,4-ジクロロアニリンとイソシアン酸3,4-ジクロロフェニルを反応させることによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては優れた殺菌作用が挙げられます。トリクロカルバンは特に黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌の細胞質、細胞膜と呼ばれる部分に結合し、細胞の活動に必要な脂肪酸の合成を妨げることによって菌の増殖を阻害し、また、高濃度ではその菌の生命活動自体を止めます。そのため、殺菌剤、抗菌剤としてハンドソープなどを中心に広く利用されていました。

 トリクロカルバンはグラム陽性菌だけではなく、グラム陰性菌や真菌にも一定の効果を発揮し、刺激性や毒性も通常利用する分には問題ない程度です。また、その殺菌力を活かし、デオドラント製品などにも利用されることがあります。しかし、排水経由で流出すると水生生物に影響を与えるリスクが示唆されていること、また、ハンドソープに利用する場合、この成分を使わなくても十分な効果が見込まれることから、一部の国や地域では使用を制限されています。

 類似した成分としてはイソプロピルメチルフェノールが挙げられます。イソプロピルメチルフェノールはトリクロカルバンと同様に、殺菌、抗菌を目的として化粧品に配合されますが、トリクロカルバンより作用が穏やかな一方、汎用性や安全性が高いことが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分けがされていますが、今日ではイソプロピルメチルフェノールが一般的に用いられています。

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