成分

使用の目的:黒色顔料、スクラブ剤

類似した成分:カーボンブラック、フラーレン

 炭とは一部のヘアケア製品やボディーソープ等に利用されている成分で、基本的には化学式Cで表される炭素原子がある程度規則的に結合した分子です。常温では黒色の粉末で、水やエタノールにほとんど溶けません。一般的には「木炭」や「活性炭」と呼ばれるものが該当しますが、工業的には木材を加熱することによって生成し、構造中に木材由来の多くの孔を含んでいます。広義では化石燃料を不完全燃焼させることによって得られる成分も「炭」に該当しますが、化粧品ではカーボンブラックと呼んで区別します。

 特筆すべき性質としては優れた吸着作用が挙げられます。炭はいわゆる多孔質物質に分離され、微細な物質を孔内に物理的に吸着します。吸着作用は他の成分も持っていますが、炭はとりわけ孔の数が多く、表面積が大きいためとりわけこの作用に優れており、シャンプーや洗顔料に配合することによって、汚れや皮脂を効果的に取り除きます。また、炭は自然な色味の黒色であるため、製品の着色剤としても用いることができます。

 古くから様々な形で利用されてきた成分で、配合量の制限の範囲で基本的には安心、安全に利用することが可能ですが、スクラブ効果の使い過ぎは肌荒れを招く場合があるため、若干の注意が必要です。また、着色の観点から考えた場合、酸化鉄やカーボンブラックと比較して黒色度が低いため、顔料としてはやや不向きです。

 類似した成分としてはカーボンブラック及びフラーレンが挙げられます。カーボンブラック及びフラーレンはどちらも炭と同素体(同じ炭素原子で構成され、構造が異なります)の関係にありますが、前者はより不規則な構造をしており、後者は特徴的なサッカーボール状の構造をしています。化粧品では前者は主に黒色顔料として、後者は構造由来の抗酸化作用を活かす形で用いられています。

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