フラーレン

成分

使用の目的:抗酸化作用

類似した成分:炭、ビタミンC

 フラーレンとは一部のスキンケア、ヘアケア製品に利用されている成分で、化学式C60で表される炭素原子がサッカーボール状に結合した分子です。常温では黒色の結晶で、水やエタノールには溶けにくく、有機溶媒にはある程度溶けます。かつては理論上のみ存在可能な物質とされていましたが、比較的最近の1985年に発見されました。天然には微量に存在することが確認され、工業的な生産方法についても開発が進められています。

特筆すべき性質としては優れた抗酸化作用が挙げられます。フラーレンには構造内の炭素原子間のσ結合に由来する、電子を捕捉する作用が備わっており、肌に塗ると紫外線による肌表面での活性酸素及び過酸化脂質の発生、及び連鎖反応を強力に防ぎます。また、フラーレンの抗酸化作用はカテキンやビタミンCをはるかに上回ります。肌のしみやくすみは活性酸素による酸化に起因するため、活性酸素の発生を抑えることでその発生を抑えることができます。

 高い抗酸化作用を持っており、肌への刺激性もないため今後、様々な応用が期待できますが、工業的な製法が確立されていない現状ではコストが極めて高く、限られた範囲での利用に留まっています(同様の理由で黒色顔料としても不向きです)。また、化粧品成分としては比較的反応性が高いため、他の成分との組み合わせについては検討が必要になります。

 類似した成分としては炭が挙げられます。炭はフラーレンの同素体に該当し、比較的不規則な構造を特徴としていますが、より安価で多孔質に由来する吸着作用に優れており、吸着剤、スクラブ剤として多くの製品に利用されています。また、抗酸化作用を持った成分としてはカテキンを多く含む茶葉エキスなどが一般的に利用されています。

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