カンファー

成分

使用の目的:化粧品への清涼感の付与

類似した成分:ユーカリ葉エキス、メントール

 カンファーとは様々なジャンルの化粧品に使用されている成分で、化学式C10H6Oで表されるケトンの一種です。カンフルや樟脳と呼ばれることもあります。常温では白色の固体で、水に溶けにくくエタノールやアセトンに良く溶けます。天然にはクスノキの葉や枝に含まれており、蒸留することによって得ることが可能ですが、一般的にはマツの精油等に含まれるα-ピネンから合成されたものが使用されています。

 特筆すべき性質としては肌に塗った場合に感じる清涼感が挙げられます。肌の表皮層、真皮層には温度を感じるためのTRPチャネルと呼ばれるセンサーが存在しますが、メントールが肌の表面に触れるとTRPチャネルの中で冷たい温度に反応する部位であるTRPM8が活性化されます。その結果として、肌はあたかも冷たいものに触れたかのように錯覚するため、涼しく感じられます。また、カンファーには冷感とセットで痛みを感じるチャネルであるTRPA1を阻害する効果もあるため、痛みを伴わない、心地よいひんやりとした感触が生まれます。

 同じく清涼感を生み出す成分であるメントールよりも刺激感が少なく、かつ精油等でも広く使用されている成分であるため、安心、安全に利用することが可能です。しかし、肌がダメージを受けた状態ではやや刺激が強いこと、香りを大量に嗅ごうとすると体質によっては頭痛の原因となるため、若干の注意が必要です。また、カンファーによって生み出された清涼感は実際に体温を下げている訳ではないため、熱中症対策としては不適です。

 類似した成分としてはユーカリ葉エキスが挙げられます。ユーカリ葉エキスもカンファーと同様にTRPチャネルのTRPM8を刺激し、ひんやり心地よい感覚を生み出します。しかし、カンファーと比較するとその作用はやや穏やかで、ひんやりよりはさっぱりとした使用感になります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました