使用の目的:皮膜形成、増粘剤
類似した成分:カルボキシビニルポリマー
PVPとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式(C6H9NO)nで表される高分子化合物の一種です。正式にはポリビニルピロリドンと呼ばれ、常温では白色の粉末で、水やアルコールに溶けやすい性質を持っています。工業的にはアセチレン、アンモニア及びホルムアルデヒドを原料としてN-ビニル-2-ピロリドンを合成し、それを重合することによって得られます。
特筆すべき性質としては水との馴染みやすさが挙げられます。通常、炭素を骨格とした高分子は無極性分子であるため水に溶けにくいのですが、PVPはその特徴的な構造により、水ととても馴染みやすく、高い吸湿性を持っています。一方、PVPは他の高分子化合物や有機溶剤ともよく馴染むため、水に溶けにくい有機成分を製品中に均一に分散させる目的で用いられています。また、水に溶けると粘り気を出すため、化粧品の粘度を調整する目的でも用いられます。
PVPは食品や医薬品を中心に幅広く用いられており、肌への刺激や毒性もないため安全に利用可能な成分です。また、多くの成分と馴染みやすいため、フラーレンのようなやや特殊な成分を分散させることも可能です(PVPを用いて水に分散させたフラーレンをラジカルスポンジと呼びます)。しかし、PVPを皮膜形成の目的で利用した場合、皮膜自体がやや脆いため添加剤が必要となります。
類似した成分としてはカルボキシビニルポリマーが挙げられます。カルボキビニルポリマーはPVPと同様に水と馴染みやすく、多くの成分を分散させますが、PVPと比較して増粘の効果により優れ温度変化にも強い一方、他の高分子等を分散させる効果についてはやや劣っています。また、使用感についても異なっているため、化粧品には目的に応じて使い分け、もしくは併用がされています。
コメント