使用の目的:低刺激の石鹸成分、石鹸素地
類似した成分:ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム
ステアリン酸カリウムとは一部の洗顔料やパウダー製品を中心に利用されている成分で、化学式C18H35NaO2で表される高級脂肪酸カリウム塩の一種です。常温では白色の粉末状の物質で、熱水やアルコール、有機溶媒にやや溶けやすい性質を持っています。工業的にはパーム油等から精製したステアリン酸に水酸化カリウムを反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としてはごく穏やかな洗浄作用が挙げられます。石鹸に使用される脂肪酸の中でも比較的分子量の大きなステアリン酸は皮脂や油汚れを落とす作用は穏やかですが、その分肌への刺激性も低いことが特徴です。また、ステアリン酸カリウムは石鹸の素(セッケン素地)として用いられることもあり、他のカリウム石鹸と同様に「液体石鹸」向けに使用されます。
天然由来の成分で、他のカリウムセッケンと比較しても肌への刺激性もごく穏やかであるため、安心、安全に利用可能です。また、水にも油にも馴染みやすい性質を活かし、化粧品の乳化剤としても利用されてきました。しかし、冷水にはほとんど溶けないため常温での洗浄力は不十分で、しばしば他の成分との組み合わせで利用されます。
類似した成分としてはステアリン酸ナトリウムが挙げられます。ステアリン酸ナトリウムはステアリン酸カリウムと同様にステアリン酸の金属塩で、化粧品に石鹸素地、あるいは洗浄剤として利用されていますが、主に固形石鹸向けに利用されています。化粧品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされています。