使用の目的:バリア機能の強化、ビタミンCの作用促進、保湿
類似した成分:パンテノール、ナイアシンアミド、パントテン酸
パントテン酸Caとはスキンケア、ヘアケア製品を中心に利用されている成分で、化学式C9H17NO5で表されるビタミンB群の一種です。常温では白色の粉末状の物質で、水に溶けやすく、エタノールや油と馴染みにくい性質を持っています。工業的にはD-パントラクトンとβ-アラニンカルシウムを縮合させる、もしくはβ-アラニンを原料として、微生物発酵させることによって合成することが可能です。
特筆すべき性質としては優れたバリア機能の修復効果が挙げられます。体内に取り込まれたパントテン酸Caはパントテン酸へと変化し、肌のターンオーバーを促進する作用があります。そのため、スキンケアに取り入れることにより、失われたバリア機能の修復を促進します。また、パントテン酸はビタミンCと併用することによってその作用を促進するため、間接的にシミやソバカス、シワなどを防止する効果も期待できます。
天然に存在する成分の誘導体で、肌への刺激性や毒性もほぼないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、パントテン酸Caは比較的熱や酸、アルカリに対して安定で、水に溶けやすいため化粧品に配合しやすい成分です。しかし、パントテン酸Caのターンオーバー促進作用は他の成分と比べるとごく穏やかなため、「肌の再生を促す」よりは「肌の調子を整える」側面が強いものです。
類似した成分としてはナイアシンアミドが挙げられます。ナイアシンアミドはパントテン酸Caと同様にビタミンB群の一種で、同様に肌のバリア機能修復を目的として用いられていますが、保湿や抗炎症といった「肌の調子を整える」作用よりもむしろターンオーバーを促進する作用に着目し、シミやシワ予防などの目的で利用されています。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされています。