使用の目的:香料
類似した成分:バニリン
クマリンとは一部のスキンケア、ヘアケア製品に含まれている成分で、化学式C9H6O2で表されるラクトンの一種です。常温では無色もしくは白色の結晶で、水にやや溶けにくい一方、エタノールや有機溶媒に溶けやすい性質を持っています。天然では桜の葉やシナモンなどに配糖体の形で含まれており、乾燥、破砕させることによって得ることができますが、工業的な合成方法も古くから知られており、サリチルアルデヒドと無水酢酸を反応させてクマリンを合成するパーキン反応が有名です。
特筆すべき性質としては特有の香りが挙げられます。クマリンが揮発するとバニラやシナモンのような甘く、パウダリーな芳香を生み出します。また、この香りには鎮静作用があることが知られているため、化粧品に桜の香りを付与したり、香りによるリラックス効果を持たせたりする目的で利用されます。
天然由来で「桜餅」の香りとしてもお馴染みの成分で、安心して利用可能な成分です。また、高濃度で利用する場合は血行促進作用や抗菌作用も期待できます。しかし、パウダリーな香りは夏場には好まれず、また、桜の香りとして季節限定の製品に取り入れられるケースも多いため、定番の香り成分としてはやや利用しづらい部分もあります。
類似した成分としてはバニリンが挙げられます。バニリンはバニラの代表的な香り成分で、クマリンと同様に甘く粉っぽい芳香を生み出し、香りのもたらすリラックス効果も知られています。シナモンや桜餅を連想させるクマリンと比較した場合、バニリンはより香りが慣れ親しまれているため、より多くの化粧品に取り入れられています。
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