バニリン

成分

使用の目的:香料

類似した成分:クマリン

 バニリンとは一部のスキンケア、メイクアップ化粧品に含まれている成分で、化学式C8H8O3で表される、バニロイドに分類される芳香族化合物の一種です。常温では白色の結晶状の物質で、水にやや溶けにくい一方、エタノールや有機溶媒に溶けやすい性質を持っています。天然ではバニラや安息香に配糖体の形で多く含まれており、高温多湿の環境に放置することで分離することができますが、フェノールの一種であるグアイアコールから合成する方法が一般的です。

 特筆すべき性質としては特有の香りが挙げられます。バニリンが揮発するとバニラ特有の甘く、多少パウダリーな芳香を生み出します。また、この香りには鎮静作用が認められているため、化粧品にバニラの香りを付与したり、香りによるリラックス効果を持たせたりする目的で利用されます。天然のバニラの香りはバニリンの他にアニスアルコールやアニスアルデヒド、リナロールとの組み合わせで成り立っていますが、バニリンだけでも十分に再現可能です。

 バニラエッセンス等でもお馴染みの成分で、安心、安全に利用可能な成分です。また、バニリン由来のバニラの香りは定番のフレーバーの1つとして親しまれており、特に海外の化粧品で利用されています。しかし、天然由来のものと比較すると微妙に香りが異なっており、また、香りが甘く爽やかさに欠けているため夏場にはやや不向きです。

 類似した成分としてはクマリンが挙げられます。クマリンはシナモンやサクラの葉に含まれる香り成分で、バニリンと同様に甘く粉っぽい芳香を生み出し、香りのもたらすリラックス効果も知られています。バニラを連想させるバニリンとは微妙に香りが異なり、日本人にとっては「桜餅」を連想させるため、クマリンは主に桜の香りを表現するために利用されます。

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