レチノイン酸トコフェリル

成分

使用の目的:ニキビ予防、シワの防止

類似した成分:レチノール、レチノイン酸ヒドロキシピナコロン、ビタミンE

 レチノイン酸トコフェリルとは一部のスキンケア製品に使用されている成分で、化学式C49H76O3で表されるビタミンA誘導体、及びビタミンE誘導体の一種です。トレチノイントコフェリルと呼ばれることもあり、常温では黄色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、アルコールやアセトンに溶けやすい性質を持っています。工業的にはレチノイン酸とα-トコフェロールをエステル結合させることによって得られます。

 特筆すべき性質としては優れた肌のターンオーバー促進作用が挙げられます。レチノールやその他のビタミンA誘導体が含まれた医薬品や化粧品を肌につけると細胞の成長や増殖を促進することが知られており、ビタミンA誘導体の一種であるレチノイン酸トコフェリルに関しても同様の効果が期待できます。また、トコフェノール(ビタミンE)由来の抗酸化作用も持ち合わせており、シミやシワを予防する効果も期待できます。

 医薬品としても用いられている成分で、十分な効果(シワ予防に関してはアルジルリンの約6倍程度)が期待できる一方、ビタミンA誘導体としては比較的安定な成分で、レチノイン酸やレチノールを用いた際に発生するレチノイド反応が起こりにくいことが特徴です。しかし、その作用はレチノイン酸やレチノールと比較してやや穏やかで、期待したほどの効果が得られないと感じるかもしれません。

 類似した成分としてはレチノールが挙げられます。レチノールはレチノイン酸トコフェリルと同様にビタミンA誘導体の一種で、レチノイン酸トコフェリルと同様の作用を持っていますが、ニキビやシワ予防についてより高い効果が期待できる一方、肌への刺激性も強くなります。レチノールの方が現在では好んで用いられていますが、低刺激をうたった製品を中心に、少しずつレチノイン酸トコフェリルが利用されるケースも増えています。

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