使用の目的:ニキビ予防、シワの防止
類似した成分:レチノール、レチノイン酸トコフェリル
レチノイン酸ヒドロキシピナコロンとは一部のスキンケア製品に利用されている成分で、化学式C26H38O3で表されるビタミンA誘導体の一種です。ヒドロキシピナコロンレチノアート、グランアクティブレチノイドと呼ばれることもあり、常温では黄色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、アルコールやアセトンに溶けやすい性質を持っています。工業的にはレチノールとピナコロンを結合させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては優れた肌のターンオーバー促進作用が挙げられます。レチノールやその他のビタミンA誘導体が含まれた医薬品や化粧品を肌につけると細胞の成長や増殖を促進することが知られており、ビタミンA誘導体の一種であるレチノイン酸ヒドロキシピナコロンについても同様の効果が期待できます。
一般的なビタミンA誘導体が「代謝型レチノール」と呼ばれ、レチノイン酸経由で肌の受容体に作用するのに対し、レチノイン酸ヒドロキシピナコロンはレチノイン酸を経由せず、そのまま肌に作用します。そのため、レチノールやレチノイン酸によって引き起こされるレチノイド反応(肌の赤みや皮むけなどの症状)の心配が少なく、比較的安心、安全に利用することが可能です。しかし、化粧品成分の中では比較的刺激性が強い成分であるため、肌の状態によっては他の成分が含まれた製品を使うことが推奨されます。
類似した成分としてはレチノイン酸トコフェリルが挙げられます。レチノイン酸トコフェリルはレチノイン酸ヒドロキシピナコロンと同様にビタミンA誘導体の一種で、レチノイン酸ヒドロキシピナコロンと同様の作用を持っていますが、より作用が穏やかで、かつビタミンE誘導体としての作用も持ち合わせていることが特徴です。化粧品には求める効果に強さに応じて使い分けがされています。