エチルパラベン

成分

使用の目的:防腐剤

類似した成分:メチルパラベン、プロピルパラベン

 エチルパラベンとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C9H10O3で表されるパラオキシ安息香酸エステルの一種です。パラオキシ安息香酸エチル、あるいは他の種類のものと合わせてパラベンと呼ばれることもあり、常温では白色の粉末状の物質で、水に溶けにくく、エタノールやエーテルに溶けやすい性質を持っています。工業的にはパラオキシ安息香酸とエタノールを反応させることによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては防腐剤、抗菌剤としての作用が挙げられます。エチルパラベンは化粧品において最も懸念される(皮膚や空気中に存在するものが入ってしまう)ブドウ球菌等のグラム陽性菌やカビを殺菌し、繁殖を抑える効果に優れています。その効果は代表的な「パラベン」であるメチルパラベンよりも優れており、性能の指標の1つである最小発育阻止濃度では半分程度を示します。

 水に若干溶けて油にも馴染みやすく、一般的な防腐剤の中では比較的安全な部類に入るため、安心して利用することが可能な成分です。しかし、若干の刺激性があること、皮膚に吸収される性質(吸収後は分解され排泄されるため身体にとっては無害です)が問題視されることがあります。そのため、敏感肌向けやナチュラルコスメの分野では「パラベンフリー」の処方が用いられたり、他の代表的な防腐剤であるフェノキシエタノール等と併用されたりすることがあります。

 類似した成分としてはメチルパラベンが挙げられます。メチルパラベンはエチルパラベンのエチル基の部分がメチル基に置き換わった構造を持っており、同様に防腐剤として用いられていますが、より水に溶けやすく、低刺激であることが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされていますが、水に溶けやすいことの利便性が高いため、メチルパラベンの方がより一般的に用いられています。

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