1,2-ヘキサンジオール

成分

使用の目的:溶媒、抗菌作用

類似した成分:ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール

 1,2-ヘキサンジオールとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式C6H14O2で表されるグリコールの一種です。常温では無色透明の液体で、水にも油にも馴染みやすい性質を持っています。工業的にはカプロン酸を出発原料として複数のステップを経ることによって、あるいは有機酸を過酸化水素で処理した後にエポキシ化し、加水分解にすることによって得ることができます。

 特筆すべき性質としては優れた溶剤としての機能が挙げられます。1,2-ヘキサンジオールは構造中に水と馴染みやすいヒドロキシル基、油と馴染みやすい炭素鎖の両方を持ち合わせていることから、水と混和し、また、アルコールや炭化水素、脂肪酸など水性の化粧品に必要な多くの成分を溶かし込むことができます。また、抗菌作用を持っていることでも知られており、パラベンやフェノキシエタノールといった防腐剤には及ばないものの、比較的低濃度で幅広い菌種の増殖を防ぎます。

 手作りコスメで防腐剤代わりに使われる成分としても知られており、肌への刺激性も低いため、安心、安全に利用可能です。また、穏やかではあるものの保湿作用があることでも知られており、化粧水などに積極的に配合する理由になります。しかし、この成分だけで十分な抗菌作用を得ようとすると高濃度での使用が必要で、肌の状態によっては刺激を感じることがあります。

 類似した成分としてはヘキシレングリコールが挙げられます。ヘキシレングリコールは1,2-ヘキサンジオールと異性体の関係にあるグリコールで、化粧品に溶媒として用いられていますが、抗菌作用があまり期待できない一方、溶剤としての汎用性や「粘度を低下させる」効果に優れています。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされていますが、1,2-ヘキサンジオールの方がより一般的に利用されています。

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