使用の目的:増粘剤、粉体の飛散防止
類似した成分:カラギーナン
寒天とは一部のメイクアップ、スキンケア製品に含まれている成分で、2種類のガラクトースが交互に結合した多糖類アガロースを主成分とした高分子化合物の一種です。化粧品ではしばしばカンテンと片仮名で表記され、常温では白色もしくは黄灰色の粉末状の物質で、熱水に比較的溶け、エタノールや油分に溶けにくい性質を持っています。工業的には紅藻類の一種である天草、オゴノリから抽出、ろ過して固めることによって得られます。
特筆すべき性質としては特徴的な増粘作用が挙げられます。寒天を熱水に溶かし、冷やすと弾力性に優れたゲルを形成します。そのため、寒天は化粧品に弾力性を持たせる目的でしばしば用いられています。また、寒天をパウダー系の製品に配合することにより、粉の飛散を防ぐことができるため、その目的でもよく利用されます。
天然由来で刺激性や毒性も確認されていないこと、食品としてもお馴染みの成分であることから、安心、安全に利用可能です。また、寒天は保水性に優れているため、肌につけると保湿効果も期待することができます。しかし、弾力性が強すぎるためチューブに詰めて絞り出すような製品にはやや不向きで、また、保湿作用についてはより肌への浸透性や保水力に優れた成分も存在します。
類似した成分としてはカラギーナンが挙げられます。カラギーナンは寒天と同様に紅藻類由来の原料で化粧品に増粘剤として用いられていますが、構造の違う3種類を使い分けることによって固さを調整可能で、また、固いものでもシュードプラスティック性に優れているため、「普段は固く、絞り出すときは柔らかい」といった特徴を持っています。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされています。
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