使用の目的:香料の合成原料、溶剤
類似した成分:ブタノール
t-ブタノールとは主にメイク製品や日焼け止めクリーム等に使用されている成分で、化学式C4H10Oで表されるアルコールの一種です。ブタノールには複数の異性体が存在しますが、t-ブタノール、tert-ブチルアルコールもしくは2-メチル-2-プロパノールと表記されるものは中心の炭素原子にメチル基が3個、ヒドロキシル基が1個付加したものを指します。常温では白色の固体もしくは無色透明の液体で、水とも油とも馴染みやすい性質を持っています。工業的にはイソブテンを原料に合成されます。
特筆すべき性質としては香料等の出発原料としての有用性が挙げられます。t-ブタノール自身にも樟脳のような匂いがあり、他の成分と併用して香料として用いられますが、t-ブタノールに塩基を作用させ、さらにフェノールや他のベンゼン環を持った化合物と反応させることによって、様々な香りを持った化合物を合成することが可能です。また、水にも油にも溶けやすい性質を活かして溶剤として使用されることもあります。
化粧品に使用される濃度、用途であれば肌への毒性、刺激性も少ないとされていますが、経口摂取した場合は毒性がみられます。(その為、エタノールを飲用不可にするための変性剤としても使用されます)また、ネイルマニキュア等に使用されている場合、他の成分と同様に燃えやすいため、取り扱いには注意が必要です。
類似した成分としてはブタノール(n-ブタノール)が挙げられます。n-ブタノールはt-ブタノールと比較して1分子あたりの炭素数は同一ですが、直鎖状の構造のため極性が低く、水と馴染みにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。その為、n-ブタノールは主にネイルマニキュア等の皮膜形成剤を溶かす溶媒として使用されます。
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