使用目的:赤、黄、黒色の顔料
類似した成分:タール色素、カーボンブラック
酸化鉄とはメークアップ化粧品に幅広く配合されている成分で、化学式FeO、Fe2O3等で表される構造の総称です。常温では固体で、色味に合わせて黒酸化鉄、黄酸化鉄、赤色酸化鉄(ベンガラ)等の名称で呼ばれることもあります。天然の鉱石にも含まれている成分ですが、化粧品用途としては工業的に合成されたものが広く使用されています。
酸化鉄は主に化粧品の着色を目的とした顔料として使用されます。酸化鉄はその別名が指し示す通り、焼成温度に合わせて黄色、赤色もしくは黒色に見えるため、化粧品の用途に合わせて使い分けられます。水や油に溶けにくく、熱や光に対しても安定なため、安心して使用可能な成分です。また、酸化鉄は光の屈折作用にも優れているため、紫外線散乱剤の効果も期待して配合することもあります。基本的には安全で、アレルギー反応も認められない成分ですが、微量に含まれる金属不純物等の影響で肌荒れ等が起こることがあり、フリー処方の製品も開発されています。
類似した成分としては赤色〇〇号に代表されるタール色素(赤、黄、黒)、カーボンブラック(黒)等が挙げられます。酸化鉄はタール色素と比較して発色の種類や鮮やかさには劣りますが、熱や光に対する耐性に優れており、また、油性成分であるタール色素より肌に対する負担感も軽めです。一方、カーボンブラックと比較した場合、やはり発色の鮮やかさには劣るものの、カーボンブラックの肌への付着性が強すぎてやや使いづらいこと、また、色の組み合わせを考えた場合、適度な発色性の方が好ましい場合があることから、用途に応じて使い分け、もしくは併用がされています。
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