使用目的:表面処理剤、収れん作用
類似した成分:シリカ、塩化アルミニウム
水酸化アルミニウムとは化粧品に幅広く配合されている成分で、化学式Al(OH)3で表される金属水酸化物の一種です。常温では白色のゲル状の固体で、水や油、エタノールには溶けにくいのですが、酸やアルカリには溶ける成分です。工業的にはアルミナを水酸化ナトリウムで処理し、冷却することによって得られます。
化粧品では主に酸化チタンの表面処理剤として用いられています。酸化チタンはファンデーションの白色顔料や日焼け止めの紫外線散乱剤として広く用いられていますが、光触媒作用を持つため、そのまま用いた場合、日光等によって表面での酸化作用が促進され、肌にとって悪い影響を及ぼす可能性があります。化学的に安定な水酸化アルミニウムを用いて表面処理を行うことによって、酸化チタンの触媒作用を低下させ、より安全に使用することが可能です。また、水酸化アルミニウムはタンパク質と結びついて収れん作用を発揮するため、皮脂の分泌を抑える効果等も期待できます。
科学的に非常に安定であり、アレルギーの心配も少ないため安心して使用可能な成分です。化粧品以外の使用用途としては、収れん作用を利用した胃腸薬として用いられることもあります。しかし、長期的に使用し続けた際の安全性についての不安の声もあり、海外を中心にアルミニウムフリーの処方も開発されています。
類似した成分としてはシリカが挙げられ、水酸化アルミニウムと同様に酸化チタンの表面処理剤として用いられています。効果に大きな違いはありませんが、他の成分との馴染みやすさ等が若干異なるため、製品の正確に合わせて使い分け、もしくは併用がされています。また、アルミニウムの化合物である塩化アルミニウムは表面処理剤としては不適ですが、より強力な収れん作用を持っており、主に制汗剤として用いられています。
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