スキンケア化粧品の「加水分解物」とはどんな成分なの?期待できる効果は?

スキンケア製品でお馴染みの「加水分解物」

 毎日のスキンケア、貴方はどんな化粧水を使っていますか。保湿力、コスパ、オーガニックなど人それぞれ選ぶ基準は異なるかもしれませんが、良い化粧水とは「ベタつかず肌により浸透し、潤いを持続させてくれる」ものです。化粧水には水分だけではなく、水分をより多く肌に留めるための様々な成分が配合され、また、より機能的な成分を探し求めるための試行錯誤が日々繰り返されています。

 そんな中でプチプラからハイブランドまで多くの製品で見かける成分が「加水分解コラーゲン」「加水分解デンプン」「加水分解エラスチン」のようないわゆる「加水分解物」です。特に加水分解コラーゲンはよく取り上げられる成分で、代表的な保湿成分であるコラーゲンと比較して肌により深く浸透し、潤いを持続させるメリットがあるとして多くの化粧品に利用されています。一体、加水分解物とはどんな成分で、どのような効果が期待できるのでしょうか。

「加水分解物」とはどんな物質なの?

 「加水分解物」とはある物質(高分子)が水、もしくは空気中などに含まれる水蒸気と「加水分解」と呼ばれる反応を経ることによって生まれた成分のことを指します。一般的に化粧品に利用される高分子は多数の分子がエステル結合やグリコシド結合、アミド結合と呼ばれる現象によって繋がることで成り立っていますが、結合の際に「縮合」と呼ばれる反応によって水分子が抜け落ちます。これらの結合は基本的には安定していますが、比較的高温で水分が多い環境では結合を解消しようとする逆の反応(加水分解)が起こり、高分子はより細かい「加水分解物」と呼ばれる成分へと分解されます。

 この加水分解物の一般的な特徴として、水とより馴染みやすいことが挙げられます。一般的にタンパク質やデンプンなどの高分子は構造中に水と馴染みやすいヒドロキシル基と呼ばれる部分を持っていますが、エステル結合やアミド結合の部分は水とあまり馴染まないため、水にはほとんど溶けません。しかし、これらの成分を加水分解することよって生まれる加水分解物は分子中に水と馴染みやすいヒドロキシル基の数が増える一方、水と馴染まないエステル結合やアミド結合が解体されるため、水にも比較的溶けやすいことが特徴です。

 また、加水分解によって分子が細かく分解されることにより、肌への浸透性も向上します。肌の角質層には外的刺激から内部を守るためのいわゆる「バリア機能」が備わっており、その性質の1つとして「分子量500以上の分子を通過させない」ことが知られています。そのため、高分子のままでは油分のように「肌に蓋をする」目的でしか使えなかった成分であっても、加水分解で分子をより細かくしてバリアを通過できるようにすることによって、分子が角質層の内部に浸透し、より持続的な効果を期待できるようになります。

代表的な加水分解物「加水分解コラーゲン」

 先にも取り上げましたが、代表的な加水分解物としては「加水分解コラーゲン」が知られています。コラーゲンはアミノ酸の一種であるグリシン、プロリン、アラニンが多数結合したタンパク質の一種で、保湿効果の高い成分として知られていますが、それ以上に肌の真皮層を形成する成分として知られており、肌の瑞々しさやハリを保つ上で重要な役割を担っています。しかし、そのイメージとは裏腹に、高分子の状態はではほとんど水に溶けず、また、肌につけても角質層まで十分に浸透しないため、肌内部のコラーゲンを補う効果を期待することはできません。一時期、化粧品のコラーゲンについて否定的な取り上げ方が目立ちましたが、この「浸透しない」ことを根拠としたものです。

 しかし、加水分解して分子量8,000以下となったコラーゲンは比較的水に溶けやすく、他の保湿成分と比較して肌への適合性にとても優れているため、肌につけると表面に薄い皮膜を作って水分をよく保ち、蒸発による肌の乾燥を防ぎます。一般的に「コラーゲン」もしくは「加水分解コラーゲン」と表記されているものの効果として知られているものがこの作用で、これらは代表的な保湿成分として、以前から化粧水や美容液などに多く取り入れられてきました。

 また、最近ではより肌への浸透性を高めるため、分子量1,000、時には500以下に加水分解したコラーゲンも利用されるようになりました。これらのコラーゲンはしばしばナノカプセル化やリポソーム化などの技術と組み合わされて利用され、肌のバリア機能によってあまり妨げられず、角質層まで比較的よく浸透することが特徴です。このような成分が利用された化粧品にはより高い保湿効果を期待することができます。

「潤いをもたらす」加水分解物

 化粧品にはコラーゲンの他にも様々な加水分解物が利用されていますが、その多くがコラーゲンと同様に肌との適合性の良さ、低分子化したことによる水との馴染みやすさを活かす形で取り入れられています。特にエラスチンやヒアルロン酸はコラーゲンと同様に肌の真皮層を形成する成分として知られており、保湿力や浸透性を高めるために加水分解したものがスキンケア製品に多く用いられています。

 また、毛髪に多く含まれている成分として知られているケラチンの加水分解物は高い保湿効果を発揮するだけではなく、髪に浸透しダメージを補修する作用でも知られており、シャンプーやコンディショナーに好んで用いられています。浸透性を高めることは単に水分をより留めるだけではなく、化粧品成分の効果をより高めることにも繋がります。

 「加水分解」と聞くと中にはインスタント食品の添加物、財布やスニーカーの寿命など、ネガティブなイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。しかし、化粧品の加水分解物は肌や髪を潤わせ、失われた機能を回復させてくれる成分です。お店で手にとってみた化粧品の成分に含まれていても、不安に思って棚に戻すのではなく、他の成分にも着目して選んでみる、あるいは貴方の肌に合うかどうか、一度買って試してみてはいかがでしょうか。

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