「海の王」サメ由来の化粧品成分にはどんなものがあるの?肌に良いって本当?

「海の王」サメと美容の深い関係

 突然ですが、貴方はどんな魚が好きですか。食べて美味しいサケやマグロ、眺めていて飽きないカクレクマノミやマンボウ、好みは人それぞれかと思いますが、「サメ」もまた根強い人気を誇っています。映画でよく見かける人を襲うイメージとは裏腹に、サメは実はとても優しい性格で知られており、水族館ではその穏やかな日常を見ることができます。また、サメは食材としても有名で、中華料理の「フカヒレ」だけではなく、はんぺんやかまぼこの原料として、私達の日々の食卓を賑わせています。

 そしてこの「サメ」ですが、美容ともとても関係の深い存在です。最も身近なものはサメの肝臓から得られる「肝油」で、元々は子供向けの栄養食品でしたが、最近では美容への効果も注目されています。また、サメ由来の美容成分が様々なスキンケア製品に取り入れられ、その多くがサメ由来であることを全面に押し出して販売しています。一体、どんな成分が、どのような形で取り入れられているのでしょうか。

サメ由来の化粧品成分①「肌によく馴染む」スクワラン

 サメ由来の化粧品成分として挙げられる代表的なものとしては「スクワラン」が挙げられます。スクワランは化学式C30H62で表される炭化水素化合物で、サメの肝油に含まれるスクワレンを水素と反応させることによって得られます。(スクワレンをそのまま化粧品成分として利用することもありますが、通常は酸化に対する安定性がより高いスクワランに変換して用いられます)。スクワランは無色透明の非常にサラサラとした手触りのオイルで、水やエタノールにはほとんど溶けない一方、油とは比較的よく馴染みます。

 スクワランの大きな特徴として、その肌への馴染みやすさが挙げられます。スクワランのサラサラとした触感はそれだけでも心地よいものですが、皮脂には10-15%程度の(構造のよく似た)スクワレンが含まれるため、肌につけるととても良く馴染み、失われた皮脂を補う役割を果たします。また、皮脂に含まれる成分の中でもスクワレンやスクワランは肌に密着し、水分の蒸発を防ぐ性質に優れているため、化粧品を肌に馴染ませるための基剤成分として、あるいは保湿成分としてスキンケア製品を中心に利用されています。

サメ由来の化粧品成分②「肌を潤わせる」コラーゲン、ムコ多糖類

 また、サメ由来の成分としては軟骨由来のものもよく知られています。サメの軟骨(いわゆる「フカヒレ」も軟骨の一種です)にはコラーゲンが豊富に含まれており、化粧品に使われていることはあまりスキンケアに詳しくない方でもご存知でしょう。フカヒレのあの独特の食感はコラーゲンによってもたらされています。また、軟骨にはコンドロイチン硫酸ナトリウムやデルマタン硫酸ナトリウムといったいわゆる「ムコ多糖類」も豊富に含まれており、同様に化粧品成分として用いられています。

 コラーゲンは肌を構成する代表的な高分子の1つで、肌の弾力や水分量を保つ上で重要な役割を果たしています。サメの軟骨由来のコラーゲンはそのままでは分子量が大きく肌の内部に浸透しにくいのですが、加水分解することによって浸透性が高まり、肌につけることでより多くの水分を保持できるようにしたり、肌内部でのコラーゲンの合成を助けたりする効果を期待することができます。

 また、ムコ多糖類は細胞の結合組織に豊富に含まれる成分で、構造中の「ムコ多糖鎖」と呼ばれる部分がコラーゲンと同様に大量の水分を保持し、また、特有の高い粘度を産み出します。そのため、スキンケア製品に保湿成分として、あるいはとろみをつける目的で利用されています。特にムコ多糖類の一種であるデルマタン硫酸Naには肌の血行を促進し、ターンオーバーを正常化させる作用も確認されているため、そのような目的で利用されることもあります。

今は必ずしも「サメ由来」ではないけれども…

 このように、サメ由来の成分は私達の肌に潤いをもたらしてくれる存在として、スキンケア製品を中心に利用されています。最近では乱獲によって数を減らしてしまった一部のサメを保護するための規制(ワシントン条約等)も設けられていますが、依然として商業的に利用することは可能であるため、多くのサメが化粧品や健康食品に利用されており、比較的簡単に入手することができます。

 一方、最近ではこれらの成分をサメ以外の、より持続可能性の高い動植物から入手する取り組みも進められています。スクワランについてはオリーブやトウモロコシなど大量に栽培されている植物から抽出されたもの、ムコ多糖類についてはウシやブタなどの家畜の軟骨から抽出したものが利用されるようになり、今日では主流になっています。これらの「サメ以外から生まれたサメ由来の成分」の効果はサメを原料としたものとはほぼ変わらないため、安心して利用することができます。

「怖い」「サメ肌」など良くないイメージもあるサメですが、もし貴方が肌の乾燥などにお悩みであれば、サメから生まれた化粧品成分を利用してみてはいかがでしょうか。きっと、その効果に満足できることでしょう。

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