使用の目的:シミ、ソバカスの予防(美白成分)、抗酸化作用
類似した成分:コウジ酸、ハイドロキノン、ビタミンC誘導体
アルブチンとは一部のスキンケア化粧品に含まれる成分で、化学式C12H16O7で表されるフェノール配糖体の一種です。常温では無色もしくは白色の粉末状もしくは結晶状の固体で、水に溶けやすく、油性成分と馴染みにくい性質を持っています。天然にはコケモモやセイヨウナシの葉に含まれており、植物の生合成におけるシキミ酸経路中に存在しますが、最近ではハイドロキノンとグルコースを反応させ、結合させることによって合成しています。
特筆すべき性質としては優れたシミ、ソバカスの予防効果が挙げられます。肌が紫外線に晒されると防御反応としてメラニン色素が合成され、皮膚に沈着するとシミやソバカスの原因となりますが、アルブチンはメラニン色素の合成を促進する酵素チロシナーゼと結合することによって反応を阻害します。多くの美白成分はメラニン色素に至るまでの中間生成物を分解することによって効果を発揮しますが、アルブチンは出発原料自体の反応を阻害するため、高い効果を期待することができます。また、アルブチンには抗酸化作用や抗炎症作用も期待することができます。
天然由来であり、同様の作用を持った他の成分と比較すると肌への刺激性や副作用の恐れも少ないため、安心して利用可能な成分です。また、アルブチンの構造内にはハイドロキノンと同様の構造が存在しますが、両者は分離しないため、ある特定の条件下で毒性が高くなる、といった心配もありません。しかし、美白効果についてはハイドロキノンと比較すると穏やかで、思うような効果を実感できない可能性があります。
類似した成分としてはハイドロキノンが挙げられます。ハイドロキノンはアルブチンと同様に美白成分として利用され、酵素チロシナーゼを阻害することによってメラニン色素の合成を抑えますが、効果が非常に強く、アルブチンの約100倍とも言われています。但し、日焼け止めの併用が必須、肌の赤みが生じるなど肌に対する負担が大きいため、一般的な化粧品にはアルブチン、コウジ酸やビタミンC等、他の美白成分が好んで利用されています。
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