使用の目的:防腐剤
類似した成分:カプリル酸グリセリル
カプリン酸グリセリルとはメイクアップ製品を中心に利用されている成分で、化学式C13H26O4で表されるグリセリン脂肪酸モノエステルの一種です。他の類似した成分と合わせて脂肪酸グリセリンエステルと呼ばれることもあり、常温では白色の結晶状の固体で、水に溶けにくく、油性成分と馴染みやすい性質を持っています。工業的にはヤシ油に含まれる炭素数10の脂肪酸、カプリン酸をグリセリンと反応させることによって得られます。
特筆すべき性質としては防腐剤としての作用が挙げられます。カプリン酸グリセリルは従来、殺虫、殺菌を目的として開発された成分で、ブドウ球菌や大腸菌、真菌に幅広く抗菌作用を持っているため、油性化粧品の品質を安定させるために用いられます。また、他の成分の分離や製品の泡立ちを防ぐ効果も持っているため、乳化剤や消泡剤としても用いられます。
食品添加物としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性も確認されていないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、ヤシ油由来の成分であるため、オーガニックコスメの分野でも好んで取り入れられています。しかし、成分自体が水と馴染みにくいこと、また、抗菌作用があまり強くなく、かつアルカリ性の環境では失われるため、化粧品の種類によっては利用しにくいことがあります。
類似した成分としてはカプリル酸グリセリルが挙げられます。カプリル酸グリセリルはカプリン酸グリセリルと同様にグリセリン脂肪酸エステルの一種で、主にパーム油やヤシ油を原料として合成されますが、脂肪酸の炭素数が少ないことにより、性質が若干異なります。乳化剤や消泡剤としての作用は同様ですが、抗菌作用に関してはより優れているため、製品の性格や求める機能に応じて使い分けがされています。
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