使用の目的:防腐剤、乳化剤
類似した成分:カプリン酸グリセリル
カプリル酸グリセリルとはメイクアップ製品を中心に幅広く利用されている成分で、化学式C11H22O4で表されるグリセリン脂肪酸モノエステルの一種です。他の類似した成分と合わせて脂肪酸グリセリンエステルと呼ばれることもあり、常温では白色の結晶状の固体で、水に溶けにくく、エタノールや油性成分と馴染みやすい性質を持っています。工業的にはヤシ油やパーム油に含まれる炭素数8の脂肪酸、カプリル酸をグリセリンと反応させることによって得ることができます。
特筆すべき性質としては優れた防腐剤としての作用が挙げられます。カプリル酸グリセリルは弱酸性から中性の範囲でブドウ球菌や大腸菌、酵母などに強い抗菌作用を示すため、油性化粧品の品質を安定させるために用いられます。また、他の成分の分離や製品の泡立ちを防ぐ効果も持っているため、乳化剤や消泡剤としても用いられます。
食品添加物としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性も確認されていないため、安心、安全に利用可能な成分です。また、パーム油は栽培可能で生産性が高いため、適切な環境で栽培されている限り、持続可能な資源として利用することが可能です。しかし、成分自体が水と馴染みにくいこと、また、アルカリ性の環境では抗菌作用が失われるため、化粧品の種類によっては利用しにくいことがあります。
類似した成分としてはカプリン酸グリセリルが挙げられます。カプリン酸グリセリルはカプリル酸グリセリルと同様にグリセリン脂肪酸エステルの一種で、主にヤシ油を原料として合成されますが、脂肪酸の炭素数が異なるため、より油性成分としての性格が強くなります。乳化剤や消泡剤としての作用は同様ですが、抗菌作用に関してはカプリル酸グリセリルの方が優れているため、製品の性格や求める機能に応じて使い分けがされています。
コメント