旅のお土産の新しいトレンド「ご当地コスメ」
貴方はどんな旅が好きですか。自然を眺めて過ごしたい、異国情緒を味わいたい、美味しいものを沢山食べたい、人によってそれぞれかと思いますが、どんな旅にも欠かせないものがお土産です。充実した旅の締めくくりには、家族や友達への幸せのお裾分けをするために、あるいは旅の情景を思い出すための小道具を探すために、お土産屋さんに立ち寄りたくなります。そこにはご当地限定のお菓子やお酒、工芸品、キャラクターグッズなど、貴方の財布の紐が緩んでしまうようなものが数多く並んでいて、つい買いすぎてしまうものです。
そして最近、お土産の新しい定番として「ご当地コスメ」を見かけることが多くなりました。以前はお店の隅にひっそりと置いてある程度で、高価なものが多かったのですが、近年では入り口からよく目立つ場所に地域の名産品を使った化粧水やクリーム、シャンプーなどが並んでいます。また、大きさもいわゆるお試しサイズから普段使いに最適なものまで、様々バリエーションから選ぶことができます。このご当地コスメ、一体どんな成分が使われていて、どんな効果を期待できるのでしょうか。
ご当地コスメのオリジナル成分①ご当地の「油」
ご当地コスメに使われている成分として最もポピュラーなものは「油分」です。ご当地コスメは地域の特産品をもっと活用したい、といった目的で開発されることが多いのですが、よく知られたものとしては小豆島のオリーブオイル、伊豆大島の椿油、北海道や熊本の馬油を使った製品などが挙げられます。どれも元々化粧品向けとしてではなく、オリーブ油は食用として、椿油は食用の他に家具などの仕上げを目的として、また、馬油は食肉の副産物として生産されてきたものですが、比較的早い時期からご当地発のシャンプーやクリームに利用されてきました。また、最近では米油を使った製品もブームになりつつあります。
これらの油分は皮脂にも含まれる脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸を主成分としているため、肌や髪ととても馴染みやすく、また、肌に塗ると皮脂を補い、保湿やバリア機能の改善を担います。特に乾燥肌に悩まされている場合には効果的で、シャンプーや洗顔で皮脂を洗い流した後のケアに向いています。同様の効果はより手軽に買えるワセリンなどの石油系成分を主とした製品でも期待できますが、肌とはあまり馴染まないため、付け心地が大きく異なります。最近では以前より手軽なサイズのものもあるため、あまり化粧品に馴染みのない人向けに、お土産として買っていくと喜ばれるでしょう。
ご当地コスメのオリジナル成分②ご当地の「香り」と「抗酸化作用」
ご当地コスメの「油」は肌にとっても嬉しい成分ですが、オリーブ油や米油は市販の化粧品でもお馴染みの成分で、中にはもっとご当地感の強いものが欲しい、といった方もいらっしゃるでしょう。そのようなニーズに応えるべく、地域特産の果物や花などを使った商品も多く発売されるようになりました。中でも目立っているものが、抗酸化作用を期待して、ポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれるお茶や果物由来の抽出物を配合しているクリームや美容液です。
ポリフェノールの代表的なものとしてはブルーベリーや苺に豊富に含まれるアントシアニン、お茶の渋み成分であるカテキン等が挙げられますが、いずれも体内の代謝や紫外線によって発生した活性酸素の連鎖反応を抑える、肌へのダメージを防ぐ働きを示します。また、ビタミンCも自身が活性酸素によって酸化、分解されることにより、同様の効果を示します。抗酸化作用を示す成分には多くの種類がありますが、お茶や果物由来の抽出物については香りも爽やかで好ましいものが多く、また、油分よりも生産地を強く連想させるため、最近では現地のお土産だけではなく、ふるさと納税の返礼品等としても見かけるケースが多くなりました。
まだまだ沢山ご当地コスメ、お土産としてはどうなの?
代表的なご当地コスメは「油」もしくは「抗酸化作用」「香り」に着目したものですが、ご当地の特産品を活かしたコスメは他にも存在します。大半は地域の農産物が中心ですが、変わったものでは海洋深層水や金箔、海ぶどうなど、特産品としては有名でも、化粧品とはあまり結びつかないようなものが使われていることがあります。ご当地コスメでも比較的マニアックな存在ですが、特徴的な効果を謳っているので、興味があったら試してみても良いでしょう。
ところで、このようなご当地コスメ、安心して使えるものなのでしょうか。家族や友人や恋人から貰ったはいいものの、何となく心配で使わない方もいらっしゃるかもしれませんが、ご当地の「油分」や「香り」をテーマにしたものであれば基本的には問題ないでしょう。成分はナチュラルコスメと似たようなものが多く、日本国内で作られたものであればドラッグストアやデパートで販売されているものと大差ありません。ただし、その食品や植物にアレルギーを持っている場合は少しだけ注意が必要です。また、マニアックな成分については自分で使用する分に問題はありませんが、使い心地などの面で好みが分かれます。自分向け、あるいはごく親しい関係の方以外へのお土産にはやや不向きかもしれません。
「ご当地コスメ」は地域活性化の新しい手段として、日本全国で日々新しいものが開発され、販売されています。お菓子やお酒も良いのですが、ご当地の特産品を文字通り「肌で感じられる」化粧品はより、旅先での素敵な出来事を思い出させてくれることでしょう。ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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