使用の目的:血行促進、気泡及び結晶によるスクラブ効果、pH調整剤
類似した成分:二酸化炭素
炭酸水素ナトリウムとは化粧品に幅広く利用されている成分で、化学式NaHCO3で表されます。重曹の通称でも知られており、常温では白色の粉末状の固体で水に比較的溶けやすい一方、エタノールにはほとんど溶けません。工業的には塩化ナトリウム水溶液にアンモニアと二酸化炭素を溶かし、反応させることによって合成されます(石灰石から二酸化炭素を得る前工程と合わせてアンモニアソーダ法の名称で知られています)。
特筆すべき性質としては肌の血行を促進する効果が挙げられます。炭酸水素ナトリウムは水と有機酸が存在する環境で分解し、炭酸ガスを発生させますが、炭酸の泡が弾ける時の圧力によって肌が刺激され、血液の循環を促進します。また、二酸化炭素の一部は肌に浸透し、毛細血管を拡張することによって血流をより促進します。血行促進以外の作用としては炭酸の気泡や炭酸水素ナトリウムの結晶による毛穴のスクラブ効果などが知られています。
食品添加物や医薬品としてもお馴染みの成分で、肌への刺激性や毒性もなく安全、安心に利用可能です。また、炭酸ガスを発生させる用途で利用する場合、粉末の状態で配合できるため、気体の二酸化炭素を用いる場合よりも自由に製品を設計できます。しかし、血行促進の効果については低濃度での効果が十分に検証されておらず、また、成分の組み合わせ次第では中和反応を起こしてしまいます。
類似した成分としては二酸化炭素が挙げられます。化粧品向けの二酸化炭素はかつて炭酸水素ナトリウムから発生させることが一般的でしたが、近年では容器の改良もあり、シャンプーや洗顔料の成分として直接配合するケースも増えてきました。製品にはそれぞれの特性を活かす形で使い分けがされています。
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