オキシベンゾン-3

成分

使用の目的:紫外線吸収剤、化粧品の退色防止

類似した成分:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル

 オキソベンゾン-3とは一部の日焼け止め製品やネイル製品に利用されている成分で、化学式C14H12Oで表されるベンゾフェノン誘導体の一種です。常温では淡黄色の結晶で、水に僅かに溶け、エタノールに溶けやすい性質を持っています。石油由来の成分で、工業的には塩化ベンゾイルと3-メトキシフェノールのフリーデルクラフツ反応によって合成されます。

 特質すべき性質としては優れた紫外線吸収力が挙げられます。構造にベンゼン環をはじめとした共役二重結合を持った成分は紫外線を吸収する作用がありますが、オキソベンゾン-3は紫外線の中でも肌の炎症やDNAの損傷といった深刻な問題を引き起こすUV-Bをよく吸収し、かつ、シミや老化の原因となるUV-Aについてもある程度吸収します。そのため、日焼け止めを目的とした製品に用いられるほか、ネイル製品などの退色防止を目的として利用されることもあります。

 紫外線吸収剤としては水やエタノールに比較的溶けやすく、肌への刺激性や毒性もないため、基本的には安心して利用できる成分です。また、UV-A、UV-Bのいずれも吸収する成分は珍しいため、かつてはよく用いられていました。しかし、肌の状態によっては紫外線によって光感作を引き起こすことがあること、環境ホルモンとしての作用やサンゴへの被害が示唆されていることから、アメリカやヨーロッパを中心に使用が禁止、もしくは規制される動きが出ています。

 類似した成分としてはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが挙げられます。メトキシケイヒ酸エチルヘキシルはオキシベンゾン-3と同様に紫外線吸収剤としてよく用いられていますが、UV-Aをあまり吸収しない一方、UV-Bを強く吸収することが特徴です。化粧品にはそれぞれの特徴を活かす形で使い分け、もしくは併用がされていますが、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを用いる場合、UV-Aをよく遮断するt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンや酸化亜鉛がしばしば併用されます。

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