使用の目的:石鹸の原料、使用感の向上
類似した成分:オリーブ果実油、米ぬか油
オレイン酸とは化粧品に幅広く含まれている成分で、化学式C18H34O2で表される高級脂肪酸の一種です。常温では無色もしくは黄色の透明な液体で、水と馴染みにくく、油と馴染みやすい性質を持っています。動物性脂肪や植物油など、天然に豊富に含まれている成分で、単離する場合はオリーブ油や動物性脂肪を加水分解して蒸留することによって大量に得ることができます。
特筆すべき性質としては石鹸の原料としての優れた機能性が挙げられます。オレイン酸は水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムで中和することによってセッケンとなりますが、オレイン酸由来の石鹸は水に比較的溶けやすく、洗浄力に優れていることが特徴です。そのため、オレイン酸を豊富に含むオリーブ果実油や米ぬか油などが石鹸の原料として好んで用いられます。また、オレイン酸は皮脂の成分でもあるため肌と馴染みやすく、配合すると化粧品の使用感を向上させることができます。
天然由来で石鹸の原料の中では肌への刺激性もごく低い部類であるため、安全に利用することができます。また、オレイン酸を利用した石鹸は低温、あるいは硬水でも洗浄力を失わないため、旅先でも安心して使用することができます。しかし、不飽和脂肪酸であるため酸化のリスクは避けられず、また、オレイン酸を肌につけ過ぎると毛穴を開いてしまったり、炎症を引き起こしてしまったりする原因となります。
類似した成分としてはオリーブ果実油や米ぬか油が挙げられます。オリーブ果実油や米ぬか油はオレイン酸を主成分とした植物油で、化粧品に幅広く利用されていますが、オレイン酸以外にも複数の脂肪酸、ビタミンEやポリフェノールなどを含んでいるため酸化にやや強く、また、肌にもより優しいことが特徴です。そのまま利用するメリットが大きいため、化粧品にはオリーブ果実油や米ぬか油の方がより一般的に用いられています。