ポリクオタニウム-10

成分

使用の目的:リンスインシャンプーのコンディショニング成分

類似した成分:ポリオクタニウム-51

ポリクオタニウム-10とはシャンプーやコンディショナーを中心に使用されている成分で、構造中に第4級アンモニウムを含む界面活性剤の一種です。化学的にはヒドロキシエチルセルロースとグリシジルトリメチルアンモニウムクロリドを重合させた構造となっており、常温では白色の粉末状の物質です。界面活性剤のため、水にも油にも馴染みやすい性質を持っており、工業的に大量に合成することが可能です。現在はこの名称が一般的ですが、かつてはカチオン化セルロースと呼ばれていました。

 特筆すべき性質としては「カチオン界面活性剤でありながら」「アニオン界面活性剤を阻害しない」作用が挙げられます。通常、シャンプーには汚れを落とす為にアニオン界面活性剤が用いられ、コンディショナーには帯電防止効果のある皮膜を形成するカチオン界面活性剤が用いられますが、両者を併用すると中和してしまいます。しかし、ポリオクタニウム-10は分子量が多く、水に溶けるまでに時間を要する為、アニオン界面活性剤の洗浄作用を活かしたまま、コンディショニング効果を得ることが可能です。この性質を活かす為、リンスインシャンプーやノンシリコンシャンプーには高い頻度でこの成分が取り入れられています。

 比較的定番として使われてきた成分で、安心、安全に利用可能ですが、コンディショナー成分としての性能は他の(リンスインシャンプーに使用できない)カチオン界面活性剤と比較すると使用感の面でやや劣ります。また、ポリオクタニウム-10が含まれているリンスインシャンプーを使用した場合、分けて使用した場合と比較して頭皮に直接付着して残存しやすいため、毛穴の詰まりの原因となることがあります。

 類似した成分としてはポリオクタニウム-51が挙げられます。ポリオクタニウム-51はポリオクタニウム-10と同様に皮膜を形成し、汚れや帯電から髪を守る役割を担いますが、アニオン界面活性剤を併用すると効果は阻害してしまいます。しかし、皮膜による保護効果や保湿作用等に優れているため、ヘアケア製品のみにとどまらず、スキンケア製品等にも広く取り入れられています。

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