使用の目的:殺菌成分
類似した成分:イソプロピルメチルフェノール
塩化ベンザルコニウムとは一部のヘアケア製品、デオドラント製品を中心に使用されている成分で、四級アンモニウム塩による陽イオン界面活性剤の一種です。正式にはベンザルコニウムクロリドと呼ばれ、通称で逆性せっけんと呼ばれることもあります。常温では白色の粉末で、水に極めて溶けやすいため水溶液のものが一般的に流通、もしくは原料として利用されています。
特筆すべき性質としては防腐剤、殺菌剤としての作用が挙げられます。通常の脂肪酸による石鹸は負に帯電していますが、塩化ベンザルコニウムは陽イオン界面活性剤であるため正に帯電しています。その為、負に帯電している細菌の細胞膜と互いに引き寄せ合い、かつ塩化ベンザルコニウムの炭素骨格の部分が細胞膜と相互作用して構造を破壊するため、高い殺菌効果を発揮します。その為、ニキビ菌の繁殖を抑えたり、臭いの原因となる肌の雑菌を殺し、臭いを防いだりする目的で化粧品に用いられています。
優れた殺菌効果を持っており、医療用の消毒剤としても使われてきた実績があるためその効果や安全性は十分に検証されています。しかし、化粧品成分としてはやや刺激性が強いため、傷口に近い部分に用いたり、肌の異常を感じたりした時に使い続けることはお勧めできません。また、肌のトラブルを引き起こす細菌、真菌に対しては殺菌効果を発揮しますが、ノロウイルス等に対しては効果がありません。
類似した成分としてはイソプロピルメチルフェノールが挙げられます。イソプロピルメチルフェノールは塩化ベンザルコニウムと同様に幅広い殺菌効果を持っており、同様にアクネケア製品やデオドラント製品等に用いられていますが、やや効果が穏やかで肌への刺激も少ない成分です。また、こちらは水には溶けにくく、エタノール等に溶けやすい性質を持っています。その為、製品の性格に合わせて成分の使い分けがされています。
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