使用目的:保湿、使用感の向上
類似した成分: カプリル酸グリセリル
トリエチルヘキサノインとは様々な化粧品に含まれている成分で、C27H50O6で表される物質です。常温では無色透明の液体で、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタノインと呼ばれることもあります。脂肪酸エステルの一種で、工業的にはグリセリンに石油由来の脂肪酸の一種であるカプリル酸を作用させ、エステル化することによって得られます。
特筆すべき性質としては「人工的に合成されたものであるにも関わらず、天然由来の成分と同様の作用を示す」ことが挙げられます。トリエチルヘキサノインは油性の成分であるにも関わらずべたつきが少ないため使用感の向上に用いられ、また、肌に塗ると表面に被膜を作って水分が蒸発するのを防ぐ性質を活かして保湿目的に用いられます。これらは天然の油脂成分の典型的な特徴ですが、化学的に合成可能なトリエチルヘキサノインは同様の効果を示します(グリセリン、カプリル酸は天然にも得ることができる成分です)。
グリセリン脂肪酸エステルは一般的に肌への刺激が少なく安心して使用できる成分が多いのですが、トリエチルヘキサノインは構造が分岐しているため酸化にも強く、また、合成時に不純物が含まれにくいため、より安全に使用することが可能です。また、化学的に合成可能であるため、季節や自然災害等に左右されず、安定して原料を確保することが可能です。
トリエチルヘキサノインと分子構造が類似した成分としてはカプリル酸グリセリルが挙げられます。カプリル酸グリセリルはトリエチルヘキサノインと同様に、グリセリンとカプリル酸を作用させることによって得られますが、グリセリン1分子あたり3個存在するヒドロキシル基の内2つがエステル化されず残っているため、親油性かつ親水性の界面活性剤として、あるいは雑菌等の繁殖を防ぐ防腐剤として利用されます。
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